日記(?)シリーズ~雨宮 千織編(2‐2)~ | ななちのブログ

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このブログは、スキップビート好きの非公式2次小説作成SS中心です。作品については、あくまで個人の趣味で作成しています。
馬車馬のごとく働く社会人ですので、更新スピードは亀ですが、よろしければお読みください☆

現在、私達は普段使っている長机とパイプ椅子ではなく、正方形のテーブルにパイプ椅子を置いて、囲むように座っている。ちなみに京子さんと琴南さんが向かい合わせに座っている状況。私は二人を観察しやす…いえ、二人の様子が良く見える、京子さんの斜め右隣で、琴南さんの斜め左隣の席。私の向かい側の席は誰も座っていない状況なの。

 現在空いている席は5席。私の向かいの席はもちろん、京子さんの隣、琴南さんの隣、私の隣がそれぞれ空いているわ。



 その空席を、敦賀蓮は確認をしている。そして…



「どうぞ、敦賀さん、社さん。」

「ありがとう、最上さん。」

「ありがと~~、キョーコちゃん!!」



 敦賀蓮は、琴南さんの隣に着席した。ちなみに眼鏡のマネージャーさんは、私の向かいの席に座っている。



 ……やっぱりね。こうなると思っていたのよ。



「どうですか?敦賀さん。」

「…うん。とってもおいしいよ。落ち着く香りがするね。」

「ですよね!?モー…琴南さんのお気に入りのハーブティーなんですよ!!私もすっかり好きになっちゃいました!!このお茶はですね…」



 京子さんは嬉しそうに敦賀蓮にお茶の効能の説明を始めてしまった。それに対して敦賀蓮は実に穏やかな笑顔で応じている。



「へぇ~。肌にもいいんだ?」

「はい!!やはり芸能人たるもの、お肌はムチプリツルンでなければなりませんものね!!」



 美味しくて美容にいいなんて最高です!!と熱弁する京子さん。…琴南さん、頬を真っ赤に染めている…。…そうよね、京子さんの言葉、全部琴南さんの受け売りだもんね…そりゃ恥ずかしいわ…。



「そう。じゃあ今度、このハーブティー、差し入れさせてもらうよ。」

「ほぇ!?」

「どこのメーカーのものかな?」



 敦賀蓮は、にこにこと満面の笑顔を惜しげもなく隣に座る琴南さんへ向けた。



「…こちらです。どうぞ。」



 そんな笑顔を向けられながら、琴南さんは実にクールにハーブティーの缶を差し出した。



「ありがとう。じゃあ今度、持ってくるね?」

「えぇ。よろしくお願いします。」



 その缶を、それはもう嬉しそうに見つめ、そっと鞄に収める敦賀蓮。

 …前にもこんなことがあったわ…そう、この前は確か琴南さんの好きなヘルシークッキーだったはず…。あの時も京子さんはその美味しさとそれを選んだ琴南さんのセンスを褒め称えていた…。

そして数日後。段ボール一箱分という大量のクッキーがこの部室に届けられた……。この、斜め右隣に座る俳優によって。



「おい、蓮。そろそろ時間だぞ。」

「あぁ、そうですか。ハーブティ、おいしかったよ。ごちそうさま。それじゃあ、また。」

「あ…。えっと…。はい、お、お気をつけて…。」

「お疲れ様です。」

「…お疲れ様です。」



 目の前で繰り広げられた一連の出来事に、京子さんは全くついていけていないようだ。だが、そんな京子さんを残して爽やかに二人の男は去っていく。



「……モー子さん!!どうしてあんなことするの!?また段ボールいっぱいのハーブティーの缶が来たらどうするつもり!?」

「どうもこうもしないわよ。そしたら皆に分けたらいいだけの話でしょ?うち、美容にだけはうるさい妖怪金喰い女もいるし、処理する方法は山ほどあるわ。」

「でもでも!!なんか色々もらいっぱなしみたいになっているじゃない~~!!」

「くれるって言っているんだからもらってあげればいいのよ。先輩の顔を立てるのも後輩の仕事よ。」



 京子さんは、敦賀蓮の姿が視界からなくなるや否や、はっと我に返り、その後、真っ青になりながら向かいに座る琴南さんの行動を非難し始める。それに対し、琴南さんはあくまでもクールに対応している。

 …そういえば。前回、段ボール一箱分のそのクッキーを見た時、京子さん、「ひぃ~~!!」とムンクの『叫び』のような壮絶な顔をしていたわね…。琴南さんは呆れたように溜息ついていたけれど……。



「でも~~~!!」

「も~~~っ!!うるさい!!いいのよ、相手は『ゴ―ジャスター』とか恥ずかしい呼ばれ方されるような人気絶頂!!超セレブ芸能人なんだから!!『ありがとうございます☆美味しくいただきました♪』って可愛くお礼言っておけば、それだけで満足するのよ!!」

「そんな!!敦賀さんは初孫に何かあげて喜ぶおじいちゃんじゃないのよ!?」

「似たようなもんよ!!」

「え!?じゃあ、私達、孫なの!?」

「そんなもんよ!!」

「っ!!わっ、私…!!おじいちゃんまでできちゃったのね!!すごいわ、モー子さん!!私、この一年でお父さんとおじいちゃんができちゃった!!」

「…よかったわねぇ。(にっこり)」



 ……。え~~っと、どう突っ込めばいいのか……。分かんない会話だわ……。



 でも、これって琴南さん、京子さんを言いくるめているけれど、(っていうか、言いくるめられている京子さんが信じられないけれど…)誤魔化している…ってこと、よね?

 あれだけあからさまなんだもの。琴南さんが気付かないわけないわよね、京子さんじゃあるまいし…。

 

 これはあれよね、絶対に




       敦賀蓮→→琴南さん




 の矢印が発生しているわよね!?



 わざわざ隣に座ったり、相手の好みのものをリサーチしたり、それをプレゼントしたり…。LMEのトップ俳優の恋がこんなにあからさまでいいの?と思うところだけれど、だってここまで真っ直ぐに行動しているんだから間違いようがないわ!!



 芸能界1…いえ、日本1イイ男などと呼ばれ、『抱かれたい男№1』といういやらしい称号を持つ敦賀蓮…。その想い人は未成年の女子高生。しかも、デビュー間もない新人女優!!しかもしかも、愛を否定するラブミー部!!そんな彼女に貢物を渡すわりに全てクールにスル―されているというこの現実…。



 なんてシュールで楽し…いえいえ、興味深いのかしら!!



 私、これまで恋愛とかそういったものに興味なかったけれど、今回ばかりは本当に興味深くって仕方がないわ!!



 宝田社長。私、目覚めました!!恋愛って本当に楽しい!!






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