念願のNOKTONが到着した。
Voigtlanderが1951年に発売したプロミネント用の交換レンズである。
PENに似合うレンズです。
銀色の胴鏡はドイツのクラフトマンシップあふれるとても精緻なつくりです。
後玉はF1.5のレンズとは思えないほど小さいです。
デッケルマウントの場合レンズシャッターになるためレンズシャッターの口径に限界があり、後玉をこれ以上大きくすることが出来ない。
その制約の中でこの明るさのレンズを設計してしまうところにA.W.トロニエのレンズ設計者としての意地を感じる。
1951年といえばドイツのカメラ技術が最高潮の時代になる。
世界中のカメラがドイツに追いつくために必死だったがそれをあざ笑うかのように超絶設計のカメラが続々と誕生していく。
このプロミネントも超絶技術によって作られたカメラのひとつである。
かつてCONTAXがライカの機構をまねることなく新しいカメラを作ったように、プロミネントも新しい機構で作られたカメラであった。
レンズ交換式のレンズシャッターレンジファインダーカメラ。
個々の技術は確立していたもののそれを組み合わせることは非常に難易度の高い設計であった。
なぜあえてこの組み合わせでカメラを作ろうとしたかは分からないが、それを実現してしまうVoigtlanderの技術はすごいものがある。
基本設計的に多くの弱点を抱えてしまっていたが、それをことごとく高い技術と工作精度でクリアしていく。
レンズシャッターの口径からくるレンズ口径の制約もそのひとつといえる。
この時代日本は二眼レフやスプリングカメラ、バルナック型ライカタイプのカメラの生産を行っているが、これは日本の生産力的にそれ以上のものを作るのが困難であったという側面もあると思われる。
言い方を変えると、布幕式のライカタイプのカメラが当時の日本の技術の限界だったといえる。
その証拠に1954年に発売されたM型に追随した日本メーカーはほとんどなかった。
もちろんM型より数段複雑なプロミネントに関しては言うまでもない。
このプロミネントのビハインドシャッターはデッケルマウントとして昇華されていくがあまり普及はしなかった。
ちなみに近年COSINAからNOKTON名でレンズが発売されているが、これは復刻ではなく新設計になる。1999年に発売された初代と2013年に発売された2代目がある。
2代目はLマウントのライカ用NOKTONを再現しています。僕もたまに見間違うくらいよく出来てます。
COSINA NOKTON 50mm F1.5 VM
Voigtlander NOKTON 50mm F1.5 L-Mount(Original)
Voigtlander NOKTON 50mm F1.5 L-Mount(Original)
レンズの設計思想や精度ももちろん、外観の復刻具合もCOSINAのレンズは徹底してます。
レンズ構成はNOKTONとULTRONの間といった感じでしょうか?
もっともコンピューター設計なので各収差は最適化されていると思います。
赤い色のレンズも非球面になっています。
CosinaのNOKTONを所有していないので詳しいことは分かりませんが、いろいろな試写を拝見すると特に開放付近での写りは少しクラシカルな感じがします。
ふわっと溶け込むようなボケではなく少しざわついた球面収差を少し残したぐるっとしたボケがとても好印象です。
ピントがシャープで写りがクラシカルで外観がカッコいい。いいレンズのオーラを感じます(笑)
機会があったら使ってみたいです。
実は今回Prominent NOKTONは到着して間もなくで試写がありません。
手元にある2代目Xenon Ultron とともに試写をして近々アップしようと思います。