今回はまたSEPTONの記事。
前回の記事
を書いた後になんとなく気になり常用としてこのレンズを持ち歩くことにした。
その違和感とは決してよい違和感ではなかった。
手に入れた当初の僕のSEPTONに対する評価は『前評判ほどではないレンズ』であった。『音まで写す』と言うセンセーショナルな前評判と品のいい控えめな写りがどうしてもリンクしなかったんだと思う。
常用として持ち歩いていたのも、このレンズにはまだ何かあるかもしれないという半分ネガティブな思いからだったと思う。前回の記事にも書いたが、このレンズは無限側に解像度が設定されているようで、スナップ向きである。普段余りスナップは撮らないのであるが、意識して撮って見る事にした。
雨上がりに日が差してきたので撮ってみた。
やはり階調表現は豊かで、日差し感がよく出ている。果物屋の白壁の日の当たったところから、右奥の日陰まできっちり表現されている。解像度は決して高くないが、線の細い細密な移りだと思う。色は控えめである。
水滴を撮ってみた。こういった写真へのアドバンテージは低いと思う。少し硬めなボケと最短側の解像度が低いせいで主題の分からない写真になっている。こういったシチュエーションはALPA SWITAR 50mm F1.8の十八番であろう。
水たまりを使って。スナップの定番ですね。なんか普段スナップ撮らないので気恥ずかしいです。
こういった情感のある写真はこのレンズに向いているみたいです。
ホームで電車待ちの間に一枚。
この写真でなんとなくこのレンズの使い方のきっかけをつかんだ気がします。
ホームにいる人々の動きが独特な立体感で表現されています。スナップの定番テッサータイプで撮っていたら、もっとべったりした写りになっていたと思います。
路地から出てきた親子です。
差し込む光とこのレンズがあいまって立体的に見えます。
立体的な背景から、主題の被写体がさらに立体的に見える。そんなジオラマのような写りがこのレンズの特徴なのではないかと思います。
普段モデルの撮影などは慣れているのですが、知らない人を至近距離で撮るというのは、勇気が要りますね。ウエストレベルで撮りました。ピンとは腰の位置にあるカメラのEVFを上からのぞいて合わせました。ファインダーまで1mほど離れているので構図は勘ですが、ピントは何とか見えました。
こうやってSEPTONを見てみると、このレンズはどんなコンディションでもどんな被写体でも画にしてくれる不思議な力があるようです。とても懐の深いレンズだなあと思いました。