FDレンズ試写会35mm編 | シネレンズとオールドレンズで遊ぶ!

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カメラマンヨッピーのブログ。シネレンズやオールドレンズなどのマニュアルフォーカスレンズをミラーレスカメラに装着して遊び、試写を載せていきます。カメラ界でまことしやかに語られているうわさも再考察していきます。

昨日に引き続き今日は35mm編です。
調べてみるとFDレンズのバリエーションは圧倒的に35mmが多いようです。TSも含めると13バリエーションもあります。ズームレンズが主流ではなかったこの時代に、カメラに装着するレンズを1本決めるとしたらポートレート派50mmスナップ派は35mmという感じだったのでしょう。そして面白いのはその進化の過程です。いまや当たり前となっているフローティングシステムを始めて搭載したのもこの35mmレンズ。35mm一眼レフ世界初のシフトレンズもこの35mmでした。ほかのFDレンズでは軽量化などのちょっとしたリニューアルで出されたニューFDレンズですが、この35mmレンズにおいては、F2,F3.5(NFDではF2.8)両方とも設計からリニューアルされている。レンズの進化の歴史を目の当たりにできるレンズ郡とも言える。今回その中でセレクトしたレンズは4本。初めてフローティングシステムを搭載したFD35mmF2SSCとその後継のNFD35mmF2.。そしてFD35mmF3.5とその後継FD35mmF2.8です。

FD35mmF3.5SC
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FLレンズより引き継がれた6郡6枚の光学系を持つ。もうひとつの標準レンズとして十分に活用できる写りをもつ。旧設計レンズらしい少し雑味の有るボケだが、これもまた赴き深い。50mmF1.4より大型になるF2のレンズに比べてF3.5は小型で、大きさもほぼ50mmと同じである。スナップを主な撮影対象にしている人にはうれしい大きさではないだろうか。開放からピント部はシャープで、f5.6まで絞り込んでもいやな硬さはない。1段少しの差のためあまり変化は見られないが、写りと現在の市場価格を考え合わせると非常にコストパフォーマンスの高いレンズといえる。

FD35mmF2SSC
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F3.5とは全く違う8郡9枚のレンズ構成を持つ高性能レンズ。フローティングシステムの採用により、撮影距離による収差のばらつきを適正に補正している。開放値と最短撮影距離の向上により、開放でのボケは驚くほど違う。とろけるようなボケは現代のレンズと比べても引けをとりません。そしてF5.6まで絞ったときのピント面の解像度は驚くほど高い。その反面ボケも存在するため、非常に強い遠近感を感じることができる。これ一本で万能な標準レンズ足りえるいっても言い過ぎではないだろう。


NFD35mmF2.8
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このレンズを試写することにより、昨日FD50mmの項で書いたFDの都市伝説(NFDよりもFDの方が写りがいいのではないか?)が完全に通じないレンズであることが分かった。5郡6枚と言うシンプルな作りながら、現代的なう美しく滑らかなボケ。それでいてシャープなピント面。F5.6まで絞るとその先鋭さに凄みが増しFD35mmF2SSCの写りにも引けを取らないほどのきれいな写りをするレンズである。しかも最短距離は35mmとFD35mmF3.5から5mm縮め、F2のレンズと比べても5mmしか差がない。それでいて旧FD35mmF2の半分以下の重量と言うのは驚きである。この時代の技術の進化を象徴しているレンズといえるかもしれない。


NFD35mmF2
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そして今回ある意味興味深いのがこのレンズである。レンズ構成は8郡10枚で旧FDから1枚増えている。写りの好みは人それぞれだと思うが少し軟調なイメージ。50mmF1.4のレンズ(プラナーのような)レンズを意識しているのかもしれないが、少しポートレートレンズを意識しすぎている気がする。軟調な写りによって少しピント面のシャープネスも落ちている。F5.6まで絞ったときの写りはピント面のシャープネスもコントラストも申し分ないが、なぜか魅力に欠ける。理由が分からないがこのレンズに関しては悪い意味で現代的なのかもしれない。あくまで個人的な見解ですが。

クラシックレンズに魅力を感じる最大の理由は、性能では割り切れない魅力だ。FDの35mmレンズはこの魅力と性能のシーソーが垣間見れる稀有なレンズ郡かもしれない。とはいえレンズの好き嫌いは好みなので好きなレンズが一番いいレンズだということに変わりはない。