354.褐色の花嫁.19 | マリンタワー フィリピーナと僕といつも母さん byレイスリー
ワタクシ「オヤジ!!!」


桐田のオヤジ「おっ、おー、久しぶりだな~」
カプセルホテルの煙草を吸う場所でワタクシに久しぶりに会って「これはヤバイ」という顔をする桐田のオヤジです。


実は遡る事5.6年ほど前ほどから桐田のオヤジに母親や友人から借りて資金を何度か融通していたのですが、ワタクシが知らないうちに母親に連絡をし口八丁で300万円を自分の口座に振り込ませたのです、正にオレオレ詐欺とも言える事を平気でやる悪党がこのオヤジなのです。


勿論、ワタクシ自身が借金に苦しんでいるのに母親の金を騙し取ったこのとんでもない男を追いかけ一度は捕まえました、しかし、貯金通帳も財布の中身も空っぽで300万円は支払って何もなかったのです、そこでオヤジの娘を保証人にして借用書を書かせたものの、ないところからは取れないのです、しかも、そこからまた音信不通です。


ワタクシも仕事が忙しい時期でもあったので、気になりながら3年の時が過ぎてしまったのですが、久しぶりにバッタリあったのです、しかし、この男は悪びれるところがありません、過去にもあっちこっちの借金を踏み倒してトンズラしたり、これまで会社を作っては潰しを繰り返しながら再び復活するゴキブリのような油断のならない男なのです。


しかし、訴えられたりしないのは憎めないところがあるのと、警察に突きだしてもお金は一円も帰ってこないでしょう、ではいつもお金がなくピーピーしているのか、このオヤジは内装業者なのですが、いつも付き合う会社が危ない会社ばかりでオヤジ自身が引っ掛けられているからなのでした、しかし、自分が引っ掛けられても職人には必ずお金を払うのです、もし職人にお金を払わなければこの業界での生命線が切れてしまうと同じなのです。


こんな桐田のオヤジに出会ったワタクシは金がないのはわかっていたので一考しました、ワタクシの知り合いが千葉が本社の建設会社の東京支店長をやっており、そこの仕事をさせる事にしたのです、初めは少なかったのですが徐々に仕事は増え始めました、そして少しづつですが毎月必ず入金される事になったのです、ワタクシも見積り書や請求書や下請けの手配を手伝い少しお金が入って来るようになりました。

警備員の仕事プラス桐田のオヤジからの入金で金銭的には楽になってきました、加えてサラ金の返済も終わりました、後は会社を閉鎖した時の借金、江川さんとの問題、そしてフィリピンにいるレイアの事でした、ワタクシがフィリピンに最後に行って6年以上の歳月が流れていました。


長距離恋愛、過去ワタクシはタイ人のハルや雪子とはものの見事に失敗していました、人は遠くにいる異性より近くの異性を求めるものだとワタクシは一つの理念として持っていました、しかし、レイアが帰ってからはワタクシは恋人を作る気が起きなかった、レイアを愛していたからか、本当にそうなのか、愛しているならば6年以上もフィリピンに会いに行かないのはおかしな話です。


実はワタクシはレイアに一つの疑惑を持っていたのです、フィリピンから帰って来て一年目は「イツ クル フィリピン?」と言っていたレイアが2年目の終わりには何も言わなくなっていました、そして3年も過ぎると電話の側では常に子供の子供の声がするようになっていたのでした。


ワタクシは「子供、元気か?」と言うとレイアは「ナニイッテル コドモ イナイヨ」と決まって答えていました、しかし「フィリピン イツ クル?」がまた始まったのでした、人は長い間会わなくても愛を持続させる事が出来るのか、ワタクシは本当にレイアを愛しているのか、レイアは本当に子供がいないのか、いつの間にかフィリピンに行って答えを出すのが怖くなっていた自分がそこにいたのでした。



次回に続きます、いつもご来訪いただきまして、心より御礼申し上げます。