346.褐色の花嫁.11 | マリンタワー フィリピーナと僕といつも母さん byレイスリー
会社のビルの下で煙草を吸っていたワタクシ、煙草を吸わないオバサンばかりいる会社だったので喫煙所となっていたのでした。



そこに別の会社の人もやって来るので次第にお互いに顔馴染みになっていき世間話をするようになっていました、この付近には虎ノ門という事で官庁街に近いのですが、実は天下りの小さな会社が点在している場所なのです、このビルにも二つほど入っており一つは残留孤児を名目にしている会社なのですが、仲良くなった人の良さそうな感じの人の話だと戦後残留孤児はもはや殆ど探しつくしたと言っていました。

それでは何の為にこの会社の存在意義があるのか、この人の会社は殆ど誰も読まない残留孤児に関しての政府機関に配る会報誌の発行が主目的、またこの人は時々ロシアや自衛隊機でグアムに行っている、そしてこの人は同様の会社と掛け持ちらしいのです、即ち二ヶ所から給料ももらい退職金も出る事になるのでしょう、こんな訳の解らない機関或いは会社が幾つもあるのが不思議としか言えません。


国民は誰の為に働き誰の為に税金を払っているのか、国の為に働こうという志を持って官公庁に若者が入っても腐ったリンゴがドンドン腐らせていっている、それが今の日本の中枢なのかもしれません、誰もがいい生活をしたい、いい家がほしい、お金がほしい、地位がほしいという自分たちの事だけしか考えない腐った政治家や官公庁の人間たちが増えていては日本という国の将来も危ういでしょう、国の根幹が腐っていっているのです、国民はこれから個々で考え動いていかなければならない時代に入ったのでしょう。


ワタクシが将来を本格的に考えたのは53歳になっていたこの頃でした、しかし、以前会社やっていた時の借金、江川さんとの約束の支払い、レイアの店に行くときにサラ金での借金の支払いがありなかなか先が見えない状況が続いていました、そんな時ルーマニアのアンドレアちゃんから珍しく電話がありワタクシは仕事もバックレ錦糸町に向かいました。


アンドレアちゃんはワタクシに頼みがあると言うのです、「バカタレが、どうせ金だろう」とお思いの方もいらっしゃるでしょうが、「ノーノーノー」そうではありません、彼女はイミテーションの結婚ビィザなのですが、そのイミテーションの結婚相手と揉めてお金を払うのをストップしたらしいのです、そこで相手の男が離婚届けを区役所に提出していないかを一緒に確認しに行ってほしいというのです。


面倒なトラブルに巻き込まれたくないワタクシですが、アンドレアちゃんとデート出来るのが嬉しくてついOKしてしまったのでした、住民票を取れば確認は出来るのですが、実は区役所に相手が一方的に配偶者の了承を得てない離婚届を出せないように同時にその手続きも一緒に行いました、一方的に離婚届を出せなくなったと聞いてアンドレアちゃんはホッと一安心です、しかし、それは一年間のビィザの間は日本にいられるというものでしかなく、次の更新までに男との話合いをしなければならないので束の間の安心でしかないのです。


駅前のラーメン屋で一緒にご飯を食べ帰りの列車の中ではモンキーの真似をしておどける一面を見せるアンドレアちゃん、可愛い娘です、お金と暇があれば思いっきり彼女を落としにかけたでしょう、しかしその両方がないワタクシにはその資格はなかったのです、この頃のワタクシは以前のように女性に対して何かをしようというエネルギーがありませんでした、むしろ女性にはその場だけの心の安らぎを求めたり、一緒に楽しくその時間を過ごせればそれでいいと思っていたのです、やはり歳のせいもあったかもしれません、そんなアンドレアちゃんにまたしても問題が発覚したのでした。



次回に続きます、いつもご訪問いただきまして心より御礼申し上げます。