『翼がなくても』 中山七里 | 固ゆで卵で行こう!

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翼がなくても 翼がなくても
中山 七里

双葉社 2017-01-18
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実業団のスプリンターである沙良は、次のオリンピックを目指してのトレーニングに励む毎日を過ごしていたが、ある日、幼馴染が運転する車に轢かれて片足を失ってしまう。

絶望する沙良だったが、競技用義足の存在を知りパラリンピックを目指す事に。

だが、事故の加害者である幼馴染が殺害されるという事件が発生し・・・。

 

 

 

オリンピックを目指す女性スプリンターの沙良。

 

事故で片足を失うものの、競技用義足の事を知って再び世界を目指そうとする物語。

 

しかし沙良の足を奪った幼馴染である事故の加害者が殺され、事件を担当する犬養刑事は沙良に注目を。

 

更に犬養刑事は加害者の弁護士が悪辣な弁護士として有名な御子柴である事を知り、事件の裏に何かがあると睨んで捜査するといった点も見どころ。

 

事件の真相は早々に分かってしまって予想の範囲内でしたが、それでも犬養刑事と御子柴弁護士の二人のやり取りは面白く、今後もこういった対決があると面白いですね。

 

また、片足を失った沙良が障害者になって初めて知る健常者からの差別的な視線を感じる様子に、読者である自分もそんなつもりは無くても障害を持った人にそういった思いをさせてしまっているのかも知れないと自身を振り返る事に。

 

また、沙良がアスリートであり続ける事、そしてトップを狙う事で生じるリスクを承知しつつも、その道を突き進む覚悟を見せる姿に凄みを感じさせると同時に、何を失っても、誰にどう思われようとも、何かに打ち込む事ができるものを持つ事は、生きる力になるものだと感じたりもしました。