『雪盲: SNOW BLIND』 ラグナル・ヨナソン | 固ゆで卵で行こう!

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雪盲: SNOW BLIND (小学館文庫) 雪盲: SNOW BLIND (小学館文庫)
ラグナル ヨナソン Ragnar J´onasson

小学館 2017-05-09
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新人警察官アリ=ソウルは恋人を置いてアイスランド北端の小さな町シグルフィヨルズルに赴任する。

何も起こらないという上司の言葉とは裏腹に、着任から二か月後のある日、町の劇場で老作家の死体が発見される事件が起こると、さらには雪の中で半裸の女性が瀕死の状態で発見され・・・。

 

 

 

アリ=ソウルが新人警官として着任できたのはアイスランド北部の小さな町シグルフィヨルズ。

 

そこで起きた著名な老作家の転落死事故。

 

どこか単なる事故とは思えぬアリ・ソウルですが、余所者であるという意識が、単純な事故であると言う上司に強く主張できません。

 

また、離れて暮らす恋人との間にできた隙間とその隙間を埋めるような女性との出会い、いつしか心惹かれてしまいます。

 

アリ=ソウルのそういった内面の動きを、町の住民たちが隠し持っている秘密や心の内などを群像劇のように描かれる中で、二つの事件の真実に近づく主人公の姿はどこか危なかしさもあってヒヤリとさせられます。

 

未熟なのは警官としてだけではなく、二人の女性との間で揺れる心など人間的な部分でも。

 

それらが絡まって、物語の着地点がどうなるか気になりながら読みました。

 

本作は〈ダーク・アイスランド・クライムシリーズ〉の1作目という事で、主人公のアリ=ソウルの成長や恋の行方、それに舞台となるアイスランド北部の雪に覆われた閉鎖的な街とそこで生きる人々の姿を楽しみにしたいシリーズです。