絆回廊 新宿鮫Ⅹ
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「警官を殺す」という巨躯な男が現れたという情報を偶然手に入れた新宿署生活安全課の鮫島は、銃を手に入れようとしているその男の行方を追ううちに、新宿に蔓延る新しい形の恐るべき組織の事を知る。
〈新宿鮫〉シリーズ10作目です。
そしてまさに節目となるような出来事が鮫に待ち受けており、また、タイトルが示しているように、いくつもの絆が浮かび上がります。
それは鮫島と上司である桃井課長や、鮫島と恋人の晶のことなど個人的なものだけではありません。
それぞれの絆について想いを巡らせながら読み進めていく中で、鮫島はある選択を迫らせることになるのだけれど、鮫島が自身の選択を示そうとするものは意外でもあり、そしてそれもまた鮫島らしいのかなと・・・。
しかし事件が大きく動きだすことによって鮫島は答えを選ぶことができなくなります。
けれどもそれが却って鮫島が見失いそうになっていた自分自身を取り戻す結果に繋がります。
それは決して楽な事ではなく、さらなる困難な道を歩むことになっても。
そうして己自身を取り戻し、そして己自身を貫き通すことで、鮫島が失ったものの大きさに切なくなり、そして逆に鮫島が得たものの大きさに胸がいっぱいになります。
そう、ラスト近くで鮫島が署長室にてかけられた言葉にその全てが凝縮されているように。。。
さて、鮫島はこれで新たな立ち位置を得ることになりました。
果たしてこれによって鮫島はどうなっていくのか。
前作から本作まで約5年も間が空いてしまいましたが、是非とも新たな〈新宿鮫〉の活躍を早く知りたいところです。
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