『死刑囚』 アンデシュ・ルースルンド/ベリエ・ヘルストレム | 固ゆで卵で行こう!

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ストックホルム市警に傷害事件で逮捕された男は、6年前にアメリカで恋人を殺し死刑の求刑を受け、刑が執行される直前に独房で死んだ男だった・・・。




『制裁』『ボックス21』に続くストックホルム市警シリーズの三作目です。


毎回いろんな問題を提起してくるこのシリーズですが、本作は死刑制度に真正面から取り組んだ問題作で、読者にこういった形で死刑制度についてアプローチしてくるのが実に興味深かったですね。


これは死刑制度がないスウェーデンならではの視点から描かれるから特にそう思えるのでしょう。


単なる傷害事件を起こした男の身元を調べると、実はアメリカで死刑を宣告されたものの、刑が執行される前に独房で死んだはずの男だという事から転がるように事態は展開していきます。


その中で、この死刑囚が実は無実なのではという疑いが、より事実であるように思えてくる事から、事件に関わる人物たちと読者に焦燥感を加えていきます。


そして突き付けられる現実と、明らかにされる真実に戦慄と驚愕を受ける事を禁じ得ないでしょう。

しかし、意外に読了感が悪くないのが不思議。

読了感の嫌さ加減で言えば前作の方がはるかに大きかったかも。

そう意味では前作の方が好み・・・なんて思うのは自分もどこか病んでいる証でしょうか(笑)。



ところで三作続けてこのシリーズを読んできて、現代社会が抱える闇と問題を提起する中で、家族というテーマも根底に流れている事を感じます。

このシリーズ、今後も目が離せないですね。




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