『遠いうねり (グイン・サーガ127巻)』 栗本薫 | 固ゆで卵で行こう!

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遠いうねり―グイン・サーガ〈127〉 (ハヤカワ文庫JA) 遠いうねり―グイン・サーガ〈127〉 (ハヤカワ文庫JA)
栗本 薫

早川書房 2009-06-10
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グイン・サーガ127巻。


栗本さんの訃報を受けて出る最初の巻になりますが、あとがきを読むととても切なくなりますね。

現世の栄枯衰勢を憂い、もっと早くに羽化登仙していれば良かったと語る栗本さんの言葉に涙せずにいられません。


この巻ではイシュトがこれまでの壮絶な生き方の中で培ってきた野生の勘と、イシュト独自の王としての心構えの両方を見せてくれ、その姿にヴァレリウスまでもが惹かれずにいられなかったり、スカールとヨナがいよいよヤガに到着してミロク教の現在の姿を目の当たりにし、そしてケイロニアのサイロンでは黒死病が大流行して、ついに外伝『七人の魔道師』の物語に突入というところを見せて非常に面白く、今後が楽しみで楽しみでならないと思わせる巻でした。


それだけにこの先、栗本さんが書き上げられているのは129巻までと、130巻の途中までというのが本当に残念でならない。

こんなにも面白い世界を紡いできた栗本さんが、もうこの世におられずグインを書いていないなんて未だ信じられない気持ちでいっぱいです。


この巻のタイトル通りに、永遠に続く物語のうねりを紡いでいると、いつまででも信じていたい・・・。