- 著者:グレッグ・ルッカ 訳:古沢 嘉通
- 『奪回者』 (講談社文庫)
ボディーガード業を休業中のアティカスは、SMクラブのガードマンのアルバイト中にかつて陸軍時代に警護をしていた国防総省高官ワイアット大佐の15歳の娘エリカを発見する。
何者かに狙われているエリカを助けたアティカスは、元大佐からエリカのボディガードを頼まれる。
アティカスはチームを召集してエリカの警護に当たるが、エリカを狙うのは英国特殊部隊出身の誘拐チームだった。
“アティカス・コディアック”シリーズ2作目ですが、シリーズ1作目である『守護者(キーパー)』よりも飛躍的に面白かった!
前作も面白かったものの、いくつか目に付いた欠点が今回は見当たらず。
ハードボイルド、アクション、そして小説としてのレベルが非常に高い。
物語は前作から4ヵ月後。
前回の仕事で負った(心の)傷はアティカスもそうだが、チームとしても大きかった。
けれど、警護の依頼を引き受けチームを召集する事によって、それぞれが癒しを得ていく。
しかし、人と人の関わりというものは簡単ではない。
ただ仕事に徹しているだけではなく、それぞれがそれぞれの人生に向き合おうとする事によって生まれる新たな痛み。
信頼と欺瞞の狭間で、自身にとって誠実であり続けるという事は難しい事なのだろう。
この辺りがよく描けているのだけれど、アティカス達が対峙する元SAS隊員たちによる冷徹なチームと対比されている辺りが実に巧みなところ。
プロット自体も前作よりも複雑で、それが人間関係とも絡まって怒涛のラストに向かっていく辺りは一気読み確実。
そして迎えるラスト。
前作に引き続き、それは苦く、そして切ないもの。。。
今後のシリーズの展開も気になる。
はやく3作目以降も購入しなきゃ!