『極大射程』 スティーヴン・ハンター | 固ゆで卵で行こう!

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時に映画やRockな日々。またDragonsを応援する日々。そして珈琲とスイーツな日々。

著:スティーヴン ハンター 訳:佐藤 和彦
『極大射程〈上巻〉』
『極大射程〈下巻〉』 (新潮文庫)

凄腕のスナイパーでベトナム帰りの元海兵隊員であるボブ・リー・スワガーは、戦争で負った心の傷を抱えながら孤独な暮らしを営んでいた。

そんなボブの元に新開発の弾薬のテストの為に力を貸して欲しいという依頼が舞い込む。

興味をかきたてられたボブは依頼を受ける事にするが、それはボブを新たな依頼と陰謀に巻き込むきっかけにすぎなかった。





映画化され、それを先日観てきたのをきっかけに(映画の感想はこちら )久々に再読した“ボブ・リー・スワガー”シリーズの一作目であり、ボブの父親の物語も含めた“スワガー・サーガ”の一作目ともなる本書は、「このミス」2000年版の海外編でも一位に輝いた傑作サスペンス&アクションの冒険小説。

久々に読み返したけど、やはり面白い。


まずは冒頭から心をわしづかみにされる。

見事な角をもった雄鹿をライフルで狙うボブ。

引き金を引き絞り倒れる雄鹿に対するボブの行動。

もうこの部分だけでボブという男に対して一気に感情移入してしまう。


ベトナムの英雄と称えられる働きをしながら、友を亡くした傷を癒す事が出来ずに孤独に生きるボブだが、その生き方は自分の信念に基づき力強い様は、全編を通じで感じ取れる。


また、ボブと行動を共にする事になるFBI捜査官のニック・メンフィスもいい味を出している。

ボブとニック、二人が別方向から敵と真相を見つけ出そうと、それぞれの視点から描かれるのも全体のバランスを良くしているのでは。


銃に対するボブの愛情と目標を捕捉して引き金を絞るまでの心理状態。

罠に嵌められたボブが国家的機関を相手どり相手の裏をかくように行動する様子や、壮絶な“戦争”でのボブの鬼神的な闘い。

そして最後に仕掛けられた逆転劇。

とにかく読み出したら止まらない、ノンストップサスペンス&アクション劇に徹夜必至だ。


なお、銃器に対する薀蓄というか説明部分が多いので、そういったものが好きな人にもお勧めですね。

自分はその辺の知識には疎いのですが、同じように銃に対してそれほど興味が無い方でもそういった描写を斜め読みにしてもじゅうぶん楽しめるのでご安心を(笑)。




ちなみに自分の中ではこの作品がシリーズ一番だとは思っておらず、シリーズ三作目というか番外編のような『ダーティホワイトボーイズ』が個人的に一番好きだったりします。

せっかくの機会なので、このままリーズを通して再読していこっかなぁ。