「本屋の新井」の第3回新井賞受賞作品「朝が来る」を読みました。
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朝が来る (文春文庫)
756円
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タワマン上層階に住む佐都子と、転落し続けるひかりの数回にわたる交点を中心に、それぞれの目線で半生をなぞりながら必死に生きる女性の溜息を描く手法は、この作家の得意とするところ。今回は特に「どんな事件になるんだろう」というミステリー感を煽り効果的でした。ひかりがどんどん落ちていくさまが生々しく目を覆いたくなるほど。最後の最後までタイトルの「朝が来る」の落としどころが見えず焦りましたが、さすが辻村さんの作品にはしっかり仕掛けがありました。最後の章が数ページだったのが賛否両論のある所だと思います。
不妊治療、特別養子縁組、住所不定者に対する冷たい現実等、なるほどなぁと考えさせられる社会勉強となる小説でもありました。
<新井賞受賞作品>
新井賞は書店員の新井さんが勝手に選んでいるだけなので、賞状も賞金もなく、作家にも伝えていないとか。
新井賞を始めたのは2014年7月で、千早茜氏の小説「男ともだち」が同年上半期の直木賞を逃したことがきっかけで、「これが無冠だなんて。だったら私が賞を出そう。死ぬ気で売るから」と決めたそうで、年2回芥川賞・直木賞発表の日に同時に新井賞も発表しているそうです。
背景がオレンジの3冊は読みましたが、新井さんの選ぶ基準がちょっとわかってきたように思います。それがまた、つぶし読みの楽しみ。もちろん残りの6冊も図書館にて予約済みで、私に読まれるのをスタンバってます。
本日、12,296歩でした。