本日天気晴朗ナレドモ浪高シ(ウラノポリ) | RAKUEN QUES†

本日天気晴朗ナレドモ浪高シ(ウラノポリ)


RAKUEN QUES†-早朝の海


翌朝午前7時前に眠い目をこすりながら起床。まだ日も昇っておらず外は薄暗いっていうのになんでこんな早起きをしたかというと、巡礼者オフィスが開く7時半には真っ先に許可証を手に入れて、朝一の船に乗りたかったからだ。船のチケットも予約してないし、船の定員がよくわからないので、なるべく早めにチケットを押さえる必要があるのだ。


チェックアウトする前に、宿に不要な荷物を預ける。修道院を巡るには険しい山道を歩くことになりそうなので、装備品はなるべく軽くしておくべきだろう。


7時半過ぎに巡礼者オフィスへ行って無事許可証を手に入れた。有効期間は3泊4日で、お値段は30€(学割はなかった)。修道院では無料で宿泊場所と食事が提供されるらしいので、まあ妥当な金額なんではなかろうか。


巡礼者オフィスの職員さんによると、今日の巡礼者数は70人ぐらいだそうだ。定員は1日にギリシャ人100人、外国人が10人だから、まだだいぶ余裕があることになる。そりゃまあ今日は元旦だからなあ。家族でのんびり新年を祝いたい人も多いだろう。


海岸沿いを歩いて港へ。聞こえるのは潮騒と犬の鳴き声だけだ。海の方へ目をやると、早朝の空に月が薄ぼんやりと輝いていた。幸いなことに空にはほとんど雲もなく、快晴といってよい空模様である。


数分後に港に着いたが、フェリーのチケットオフィスはまだ閉まっていた。時間を潰しがてら、桟橋へ行ってみた。桟橋へ向かって歩いて行くと、海から風が吹き付けてくる。海は少々荒れ模様のようだ。まるで東映映画のオープニングのような波が、ひっきりなしに桟橋を叩いていた。


RAKUEN QUES†-朝焼けの港


桟橋の端では地元のおっさんが朝釣りをしていた。暇に任せて眺めていたが、結構釣れているみたいだった。おっさんらは何匹か釣り上げると、それぞれの収穫が入ったバケツやクーラーボックスを抱えて、早々に引き上げていった。釣った魚は今日の昼飯になるのかな。


だんだんと港に人が集まってきたが、まだチケットオフィスは開いてなかった。腹が減っていたのでカフェで朝食を摂ることにする。グリーク・コーヒーとスパナコピタというほうれんそうとフェタ(白チーズ)が入ったパイを喰べる。コーヒーは甘く、どろっとしてて妙な感じだったが、焼きたてのパイはうまかった。


RAKUEN QUES†-カフェ

ウラノポリのカフェ。船を待つ修道士。



カフェから港へ戻ると、ようやくチケットオフィスが開いていた。カウンターには若いギリシャ娘が座っていた。俗世とオサラバする最後の最後に若い女性を配置するとは、なかなか粋な計らいをしてくれるじゃないかYO!



「すみません。ダフニ行きのチケットをください」
「ちょっと待っててね。うふん」



10分後。



「もう大丈夫ですか?」
「ちょっと待ってて。まだ船がいつ来るかわからないの。今日は波が高いから・・・」



え~、マジっすかぁ~・・・。確かに波はちょっと高いけどさ、大したことない(素人目には)じゃないか。絶対大丈夫だって(無責任)!新年早々初詣に出かけるような殊勝な人々が乗った船を、沈没させる神様はいないって!


なんてことは言えるはずもなく、そのへんをウロウロしたり、腰掛けて地図を眺めたりしながら時間を潰していると、テッサロニキからのバスが広場に到着した。また巡礼者たちがぞろぞろとバスから降りてくる。ほとんどはでっかい荷物を抱えた巡礼者たちだったが、中には黒い帽子に黒いローブを着用した聖職者の姿も見える。ほとんどの聖職者はふくよか、というかはっきりいってデブだ。食事は粗末だと聞いていたけど、実は陰でうまいものを喰ってるんじゃないだろうな。


待てど暮らせど吉報は来なかった。痺れを切らせてチケットオフィスへ行ってみると、そこは既に電気が落とされおねえさんの姿は既にどこにもなかった。カウンターを見ると「天候不良のため、本日のフェリーはキャンセルです」と書かれてあった。やれやれとほほ・・・。


RAKUEN QUES†-船を待つ人々


それでも港にたむろする人々は辛抱強く待っていた。なにか別の手段があるのかもしれない。私も一緒に待つことにする。時刻は既に午後12時を過ぎた。もし今日行けたとしても、今日の行動計画は完全に崩れてしまった。今日どこへ宿泊するか、またプランを練り直さなければならないだろう。


何をするでもなくぼーっと突っ立っていると、1人の青年が声をかけてきた。彼の名はアルセニス。非常に覚えづらい名前の男だ。というか結局覚えられなかった(アドレス帳に名前とメールアドレスを書いてもらったので、今はわかるけど)。そんなことはどうでもいいのだが、彼は「もしかしたらボートをチャーターできるかもしれない」と言った。えっ、本当か?今日行けるのなら、多少金がかかってもいいよ。ということで一縷の望みを抱きつつ、アルセニスとカフェで時間を潰すことにした。


彼はテッサロニキの大学生で、現在は1年間の兵役に従事しているそうだ。今は年末年始の休みなんだけど、感心なことに彼はその貴重な休みをアトス参りに使おうというのだ。彼は今まで何度もアトスへ行っていて、今回は4日間ずっと同じ修道院で過ごすプランらしい。プチ修行かな?


彼は恐らく敬虔なギリシャ正教徒なんだろう。彼も「たぶんそうなんだろう」と言っていた。だけども狂信的で不寛容な連中みたいにはなりたくないと、はっきりと一線引いているのが印象的だった。私が冗談で「何度もアトスへ行くんなら、いっそ修道士になったら?」と訊ねると、彼は「それはムリ。僕は友達と騒いだり、女の子とデートしたいしね」と答えた。実に健全だねぇ。


RAKUEN QUES†-彩雲01

雲が虹色に染まっていた。彩雲っていうらしいが、初めて見たわ。今日は船が出なかったけど、こんなのが見れてちょっと得した気分。


RAKUEN QUES†-彩雲02

もうひとつおまけに。



話が長くなったのでもう端折るが、結論から言うと結局この日はアトスへ行くことができなかった。アルセニスは午後のバスでテッサロニキへ戻っていった。明日チケットオフィスに電話して、船が出そうだったらまたウラノポリに戻ってくるつもりだという。私はというと、ウラノポリからテッサロニキの往復には約20€もかかるので、今日もウラノポリに宿泊することにした。


その晩アルセニスからメールが来た。



「天気予報ニヨルト明日モ浪高シ。恐ラク船ハ出航セズ。イエリッソス(アトスへの船が出るもう1つの港)カラ行カレタシ」




RAKUEN QUES†-翌朝の海

この日もダメでした・・・。大きめのフェリーだったら問題なく行けそうな気がするんだけどなあ・・・。



彼の予言(?)通り、翌日もフェリーは欠航となった・・・。聖地への道は予想以上に険しいのであった・・・。
ほいじゃ、また。



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