イントロに続いて、最初は配当に関する税金の話のようです。


(その1:はじめに / その3:キャピタルゲインにかかる税金


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税と投資~個人投資家へのガイド~
(http://www.optionseducation.org/content/dam/oic/documents/literature/files/taxes-and-investing.pdf)

 

p. 5 配当金


国内企業および『適格外国企業』から個人株主が受け取る配当金は、一般的に、通常の税と代替ミニマム税の両方を対象として純キャピタルゲインに適用されるのと同じ税率で課税される。7ページの議論を参照されたい。つまり、適格配当は現在、20%の最高税率(プラス純投資収益に対する3.8%の税金)で課税されている(※注コメント: 重要なのに説明がやけにあっさりですが、『適格配当』とみなされるものには長期キャピタルゲインと同じ低い税率が、そうでない場合は短期キャピタルゲイン同様自分の所得に上乗せされる、いわゆる総合課税的な形で遥かに高い税率が課せられることになります)。


『米国内で既存の証券市場において容易に取引可能』である株式とみなされる外国企業によって支払われる配当は、通常、この低い税率の対象である。国税庁が発行したガイダンスの下で、普通株式、優先株式、またはそのような株式に関する米国預託証券は、もし米国証券取引所に上場されている場合ならば、『米国内で既存の証券市場において容易に取引可能』であるとみなされる。登録済み米国証券取引所には、以下が含まれる。BATS取引所、C2オプション取引所、シカゴオプション取引所、シカゴ証券取引所、EDGA取引所、EDGX取引所、インターナショナル・セキュリティーズ取引所、NASDAQ OMX BX(OMX=スウェーデンとフィンランドの証券取引管理会社、BX=旧ボストン取引所。どちらも数年前にNASDAQが買収)、NASDAQ OMX PHLX(PHLX=旧フィラデルフィア証券取引所。これもNASDAQが買収)、NASDAQ証券取引所、ニューヨーク証券取引所 (NYSE)、NYSE Arca(アーキペラゴ・ホールディングスとの合併により誕生。上場基準がNYSEより若干緩い、いわゆる新興企業メインの市場)、NYSE Amex(NYSEユーロネクストとアメリカン証券取引所の合併で誕生。こちらもArca同様基準が緩いようですが、さらにより小型株メインの取引所のようです)。


これら低い税率が適用されるためには、投資家は、特定の配当支払いが決定されるex-dividend(配当権利落ち日)の前60日から始まる121日の期間中、少なくとも61日以上その株式を保有していなければならない(特定の優先株の場合、ex-divの前90日から始まる181日の間で、91日以上)。この保有期間が、各配当支払いのために満たされなければならない。その株ポジションがヘッジされている日数は、アットザマネーまたはアウトオブザマネーの『適格カバードコール』(19-22ページにて詳説)を除き、一般的に必要保有期間には計上されない。保有期間の決定にあたっては、株式が処分される日は保有日として考慮されるが、取得日は考慮されない。


例:
2014年7月7日、ある投資家がXYZ社の普通株を53ドルで100株購入。2014年7月22日、XYZの10月満期・行使価格55ドルプットを購入。2014年8月13日、そのプットを売却。2014年8月22日の株主名簿上の株主に配当を支払うという点から、XYZ社の株式は、8月19日にex-divを迎えることになる。2014年10月15日に、この投資家はXYZを全株売却したとする。この場合、XYZ株は、ex-divである8月19日より前の60日から始まる121日間の期間中、合計して最低61日以上保有されていたことになるので、支払われる配当には低い税率が適用されることになる。このプットを保有していた日数は、考慮されていない。
※注コメント:プット保有期間を引いても61日以上になっているので例が悪すぎるのですが、プットの買いポジションはヘッジ取引とみなされると思うので、恐らく対象期間中にあまりにも長くプット買いポジションを保有していると、適格配当税率適用条件の61日を超えられなくなるので注意、という話かと思います


例:
2014年9月9日、ある投資家がXYZ社の普通株を38ドルで100株購入。2014年10月13日、XYZの12月満期・行使価格40ドルのコールを売却。前日のXYZ株の終値は41ドルであった。このオプションは、インザマネーの適格カバードコールである。2014年11月14日、同じコールを購入することで、コールのポジションを畳むことにする。2014年11月19日の株主名簿上の株主に配当を支払うという点から、XYZ社の株式は、11月16日にex-divを迎えることになる。2014年12月2日に、この投資家はXYZを全株売却したとする。この場合、XYZ株は、ex-divである11月16日より前の60日から始まる121日間の期間中、合計して最低61日以上保有されていないことになるので、支払われる配当には低い税率が適用されない。このコールの売りポジションを保有していた日数は、考慮されないのである。


納税者が、実質的に類似または関連する資産のポジション(例えば、空売りで用いるために借り入れた株式の『配当調整金』)に対して、関連する支払いを行う義務を負う範囲で受け取った配当については、低い税率は適用されない。同様に、配当の株式名簿記録日のための証券貸借契約に従って貸し出された株式を保有する所有者は、貸与株式に関して受け取った金額に対して低い税率を受ける権利はない。すなわち、低い税率は、配当調整金には適用されないということである。低減税率対象の配当は、自身がその配当を低い税率に適格ではないものとして扱うことを選択しない限り、投資利子費用の控除制限(38ページ参照)を決定する目的での『投資収益』としては扱われない。


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特に最終段落は地味に非常にややこしく、書いていて正確に理解できたのか正直分からないレベルなんですが、前段落の例にあったオプションでのヘッジ含め、通常の現物株買いポジションのみを保有しているわけではない状況から得られる配当金の場合、低減税率を得るためには注意をしなければいけない、と覚えておけばいいのかな、という気がします。


個人的には、配当金を狙った取引をすることはないので、正直どうでもいいかなと思います……と思ったんですが、将来やりたいオプションの売りサイクルでは、もしかしたら配当銘柄も対象にするかもしれないので、意外に重要だったかもしれません。しかし、この「オプション売り無限サイクル」戦略では、株を保有中はずっとアウトオブザマネーのカバードコール売りを回すと思うので、上記説明によると『アウトオブザマネーのカバードコールは例外』と書かれていましたし、まだ詳しい説明があると記述されていた『19-22ページ』の内容は全く見ていないのですが、一応気にしなくていいのかな?という気がします。
そもそも、オプション売りサイクルではプレミアム(オプション売却代金)の収入をメインに考えており、配当はおまけ程度のものだと思うので、その意味でも別に気にしなくてもいいかな、という気もします(=配当の税率を低くするためだけにあえて売りサイクルを崩したりすることは多分しないので、保有期間にカウントされようがされまいがどうでもいいかな、という感じ)。


いずれにせよ中々色々な要素の関わるディープな話で若干分かりづらかったのですが、以前まとめた似たような記事はもう少し分かりやすかった気がするので、そちらも参考になるかもしれません(先週もリンク貼りましたが)。

 

米国株を長期保有することの最大のメリット:税金が安くなる