続 チェラリー島にて 1  | AKI 's ミステリー           

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これまでに書きためた作品を紹介します。

ブログネタを利用したお遊びstory〈梅と愉快な仲間たち〉も毎日更新♪

こちらの作品は、以前に書いた 『チェラリー島にて』 の続編です。

今回もまた、デタラメ脳が働きました。

毎度毎度、お付き合いありがとうございます。





◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 チェラリー島 島長の孫娘、ユラピットがトブリンの未熟果を踏みつぶし、眠りについてから3カ月。




ユラピットは人形のように、ベッドに寝かされていた。




未熟果が落ちるトブリン畑で意識を失って以降、ユラピットは息をするだけで微動だにしない。




指先を動かすことも、睫毛を揺らすことも。




「ユラピット嬢さまの容態は?

今日もまた、目を覚ましてくださんかったのかえ?」




 トブリンの失神に効くといわれる ”シクラメンの涙” を採取してきたテムテム爺さんが、島長宅のヒラリーに声をかけた。



ヒラリーは生後間もなく流行り病で両親を亡くし、島長の屋敷に引き取られた。



ユラピットはヒラリーを実の姉のように慕い、ヒラリーもユラピットを目に入れても痛くないほど可愛がっている。



今年24歳になるのだが、島長の息子夫婦、すなわちユラピットの両親が2人揃って病身のため、ヒラリーは家事に重きを置いて、寄せられる縁談に見向きもしない。



これは、島長の悩みのひとつだ。



「数日もすれば、Dark Angel号が寄港するわ。

船にはジェレミー・アキがいる。

私は彼の腕にかける」



 ユラピットがトブリンの眠りに落ちて以降、ヒラリーは目に見えてやつれてきた。



艶のあるブロンドの髪が心なしかくすんで見える。



「ジェレミー・アキか… 、あ奴を信じるのかえ?

あの男は化けもんだ、カエルの目玉やイモリの卵でひぃひぃ笑いよる。

ブラッディでさえ、扱いに困っておるともっぱらの噂じゃ」



「この3カ月、何をしても効果がなかったわ。

”シクラメンの涙” でさえ、ユラピットの目を覚ましてくれなかった」



 ヒラリーはテムテム爺さんの手元に目を向けた。



ユラピットのためにテムテム爺さんは毎日、”シクラメンの涙” を採取してくれる。



 ”シクラメンの涙” は、ノッポ岳のふもとに群生するチェラリーシクラメンにつく朝露のこと。



チェラリーシクラメンは名前の通りチェラリー島の固有種で、世間一般に知られているさくらそう科の多年生植物とは別物。



チェラリーシクラメンは、さぼてん科の常緑多年生植物。



サボテン特有の棘はなく、薄桃色の小花を咲かせる。



「テムテム爺さんの気持ちは感謝しています。

けれど… 」



「ヒラリー嬢さま、頭を上げてくんしゃいな。

わしに出来ることはこれくらいのもんじゃ。

トブリンには ”シクラメンの涙” 昔から決まっちょるんよ、絶対に効くわいな。

ジェレミー・アキに頼るんは、最後の最期じゃと言うてくんろ」



「テムテム爺さん… 」



 ヒラリーは両手で顔を覆い、大粒の涙を流した。






ベルこの調子で、ゆるく続きます( ´艸`)

  内容は未定。

  お好きなお時間にお付き合いくださいませ。







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