●尾瀬沼周遊 2015年9月13日(日) 快晴 温泉

 群馬県片品村 尾瀬ヶ原(1,660m)

 <参考コースタイム>

 第2日目

  長蔵小屋→(1時間10分)湖尻休憩所→(1時間20分)尾瀬沼山荘→(20分)三平峠→(1時間)一之瀬→(低公害車15分)大清水→(バス30分)戸倉温泉(泊)

 <合計参考徒歩時間> 4時間


→その1 から続

朝、4時半頃目を覚まして、皆で小屋の裏手のビューポイントに行ってみた。ここからの湖沼に映る朝焼けの燧岳が美しいという。


朝陽は、小屋の裏手の小高い山の向こうから昇るので見られないが、5時過ぎ頃からわずかに燧岳の上空が白みかけてきた。

小屋からも続々と登山者が起きだしてきて、朝陽にわずかに染まる空を見上げている。

残念ながら、燧岳にかかるモルゲンロートは見られなかったので、湖沼の北側に沿って大江湿原に歩きだした。


尾瀬沼周辺には大小8つの湿原があり、中でもこの大江湿原が最も大きいという。水芭蕉やニッコウキスゲの群落があることでも有名らしい。

ちょうど湿原の向こうの林に、運よく朝霧が立ち込めて幻想的な雰囲気を醸し出している。

花の百名山の著者で作家の田中澄江が、尾瀬沼の印象をこう書き記している。

「・・・尾瀬沼周辺には 観光地化されたものから、とうに失われてしまった神秘的な眺めが色濃く残っていた」。

「神秘という字は、私には神が創った大自然というような意味を持つ。自然現象に、ことさら大という字をかぶせるのは、神の創造の偉大さをたたえたい気持ちがある「花の百名山」より)。
湿原の中ほどに、まるで人工的に植えらてたような三本の杉がある。これが大江湿原のスポット的な存在らしい。

この3本杉のおかげで、背後にある黒い森と手前の草原との遠近感が際立ってくる。


淡くも靄(もや)のかかった湿原は、昨日、白日のもとで見た湿原とは全く様相が異なり、どこか厳かな雰囲気に満ちている。



陽が高く昇るにしたがって、青空が広がり、その青空が水面に映ってさらに小川が色濃く、深みが増してくる。


藍色に色濃く染まった流れを見ていると、吸い込まれそうなほど澄んで、神秘的。

黒い小さな魚影が見えている。

沼山峠に向かう登山者が、湿原の木道を真っ直ぐ歩いて、やがて深い霧の中に消えていった。

本日われわれは、周囲約7kmの尾瀬沼を周遊し、昨日登ってきた三平峠への道筋を辿り、戸倉温泉にゆっくり浸かることになっている。

歩行時間はおよそ4時間半。


行く手に、秋ならでのは鰯雲が広がり、左右の大地はまるで稲穂のように黄金色に染まっている。

明治22年(1889年)8月29日、桧枝岐村の平野長蔵が、 燧岳に登り、ひと月後の9月24日、山頂に祠を建立したという。今から126年前のことである。

長蔵氏(当時20歳)はその後、尾瀬の開発と、自然保護に務め、明治23年年(1890年)、尾瀬沼の畔(現在の沼尻)に小屋を建てた。

現在の長蔵小屋は、大正4年(1915年)に移築され、尾瀬沼唯一の山小屋として営業を始めたという。

深田久弥は、「学生時代に長蔵小屋の炉端で茹で小豆を食べながら、その意気高らかな気焔を聞いたことがある」と述懐している(深田久弥著「日本百名山」より)。


大沼湿原の入口近くの小高い丘に、黄色い花で埋め尽くされた個所がある。遠目にかろうじて墓であることが分かる程度だが、それが長蔵氏の墓であるという。

写真中央やや左の黄色い花の群落が長蔵の墓
長蔵小屋を出発して、およそ1時間後、小屋の対岸にある沼尻の休憩所に着。

途中、あれほど遠くに見えていた燧岳が、間近に迫った圧倒的な存在感を誇っている。


休憩所はちょうど、燧岳の登山口に当たる場所だが、この場所のロケーションが抜群に良い。恐らくここが長蔵氏が最初に建てた小屋跡なのだろう?

湖沼の向こうに連なる青いシルエットの山々は、鬼怒沼山の山塊だろうか?

最盛期には人の群れごった返すのだろうか、幸いにも台風余波のおかげで、静かな湖畔のひとときを堪能できた。

しかし、この休憩所が、われわれが訪れたおよそ1週間後の21日午後1時、出火により全焼したとのニュース。

幸いにけが人はいなかったというが、その損失は計り知れないものがある。


われわれもここで大休止して、あと半周の湖沼巡りに出発。

薄暗い木道に入ると、様々な秋の気配が漂っている。とりわけ豊富なキノコが目に付くが、やはり怖くて手が出ない。
    

                                          シメジ

休憩所から尾瀬沼湖畔沿いの木道を1およそ1時間半歩いて、初日の休憩した尾瀬沼山荘に着。
尾瀬沼山荘

ここから三平峠への上りを経て、一之瀬に向かって下るだけ。
本日も一之瀬から低公害車に乗って大清水の出て、そこからバスを乗り換えて尾瀬戸倉温泉へ。

ここの旅館で、ゆっくり温泉に浸かって一泊することになっている。

途中、一之瀬の休憩所で、メンバーがキノコうどんを食べていたが、路傍で沢山みたキノコだろうか?

翌日は、他のメンバーと別れて、Mさんと二人で至仏山へ。”

行きがけの駄賃”というわけでもないが・・。

その3に続く



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