天体望遠鏡・コリメート撮影の原理 (2) | 池袋駅北口の「ぐんまのやぼう」

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まず接眼レンズの虫眼鏡としての機能を具体的に考えます。

まず目で見たときI1がいちばん大きく見えるのはもっとも近づいたときつまり目からI1までの距離が250mmのときです。カメラであれば最短撮影距離まで近づいたときです。

一方レンズがあるとき一番大きく見えるのはレンズに目が近づいたときのはずです。
(なんの検討もせずにこう決めつけてしまうのはじつは間違っていますが、そのことはここでは省略します)

  1 / b = 1 / f - 1 / a

なのですが、このままでは a < f ですから b がマイナスになります。これからの議論は bの絶対値だけが問題になるのでここから先は

  1 / b = 1 /a - 1 / f

として進めます。

  1 / b = 1 /a - 1 / f
の式から
  1/b = (f - a ) / ( a * f )
逆数をとって
  b =( a * f) / ( f - a )
が得られます。

  a -> 0 のとき
    右辺の分子は ( a * f ) -> 0、
    分母は ( f - a ) -> f
  ですから結果として
    b -> 0
  になります。

  a -> f のときは
    右辺の分子は ( a * f ) -> ( f * f )
    分母は ( f - a ) -> 0
  ですから有限の値を0に近い値で割ることになり
    b -> ∞
   ということになります。

  a -> 0 のとき b -> 0
  a -> f のとき b -> ∞
です。

ここでレンズがあると目で見たときの何倍に見えるかを次のように定義します。

  D = ( I2 / b ) / ( I1 / 250[mm] )

ここでいう倍率は

  10m先のものが同じ大きさで1m先に見えるようになったら10倍
  10m先の1mの大きさのものが5mに大きさに見えるようになったら5倍

という考え方です。

  I2 = I1 * b / a

ですから

  D = 250[mm] / a

となります。aが小さくなればなるほど倍率が高くなります。一方aが小さくなればbも小さくなります。だからb=250[mm]のときのaの値を求めればこの接眼レンズ(虫眼鏡)の最大倍率が求まります。

  1 / b = 1 /a - 1 / f
  1 / 250[mm] = 1 / a - 1 / f
  1 / a = 1 /250[mm] + 1 / f
  a = 250[mm] * f / ( 250[mm] + f )
ですから

  D = 250[mm] / f + 1

となります。また a が大きくなった場合つまり
  a -> f のとき D -> 250[mm] / f
となります。

組立望遠鏡倒立15倍の接眼レンズは18.2mmです。
  D = 250[mm] / 18.2[mm] + 1 = 14.73
となります。ちなみに
  a = 250[mm] * 18.2[mm] / ( 250[mm] + 18.2[mm] ) = 16.96[mm]
であり焦点に比較的近いところにI1をもってくる必要があります。

つまり組立望遠鏡の接眼レンズは14.73倍の虫眼鏡として機能するはずです。
“はずです”というのは接眼レンズの場合I1の位置には視野環が置かれるため虫眼鏡としては使えないためです。
ただ視野環の位置から接眼レンズの位置をどこと考えればいいのかがわかるはずです(こっちはちゃんと調べていないので“はずです”にしました)

またたとえば10倍のルーペがあった場合その焦点距離は

f = 250[mm] / ( D - 1 ) = 250[mm] / ( 10 - 1 ) = 27.78[mm]

から27.78[mm]であることがわかります。

ところで上の14.73倍という虫眼鏡としての倍率は組立望遠鏡の倍率15倍に近いのですがこれは偶然です。組立望遠鏡の対物レンズの焦点距離273mmが250mmに近いため近い値になっているだけです (^^;;

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(2013-04-13 11:03:55)
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