藤川の料金は高いか安いか~涙のヤケ酒を飲みながら~ | エガオヲミセテよ@「弱者のための個別指導」寺子屋ふじかわ

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弱者のための個別指導:寺子屋ふじかわ&宮城仙台杜の都のプロ家庭教師☆藤川先生。
仙台市若林区河原町で「個別指導塾」を寺子屋をやっているプロ家庭教師の藤川が、日々の徒然を書くためのblog。
長町中、五橋中や台原中、みどり台中などから来ていただいています。

本日、一つのご家庭との契約が終了した。

もともと、あまりご自身のお子さんを客観的に観ることが出来ないご両親であったので、お伺いした当初から認識の相違に苦労していたのは事実である。HP経由でこられるご家庭は藤川がどういう人間かある程度わかっており、やる気のある子には安いが、やる気のないお子さんには高くつく家庭教師だということをご理解いただいていると思っている。ところが、こちらは県外の業者さん(登録したことすら、忘れていたのだが)からの紹介だったために、当然藤川のことを業者の持つカタログスペック以外では知らなかった。


確かに、私はそれなりに無茶な仕事も成功させてきたという自負があるものの、それは、結局は最終的に本人がやる気を出して戦う意思があったからである。あの手この手で、どんなにやる気を出させようと努力しても、駄目な場合がある。私は、そういう意味では戦わせるのが「下手」な家庭教師なのかもしれない。


ただ、無理にやる気を出させようとしても、勉強をしない子にはそれなりの理由がある場合がほとんどである。あの大馬鹿者の家庭についても、同情すべき理由がないわけではない。そのため、はらわたが煮えくりかえる思いを何度もしていた。


藤川が思うに、結局、一つの目安はリビングに藤川が入れるかどうかにある。リビングに藤川が入れるお宅の保護者の方は、ほとんどの場合よく生徒さんのことを見ていらっしゃる。そして、そういう家庭の場合、親子の間に一定の共通認識がある場合が多いのである。従って、藤川が生徒さんの現状を説明する場合でも、保護者の方は素直に現実を受け入れられる場合が多い。


逆にリビングに入れないお宅の場合、保護者の方がお子さんを見ておられない(あるいは、見ようとしない)ために、藤川がする現状説明を受け入れられないことがほとんどになる。そして、そうしたご家庭の保護者の方ほど、ご自身の理想をお子さんに押しつけ、現実からスタートすることなく、そのご自身の理想をスタートラインにされる傾向にある。


本日終了したお宅は、まさにそういうお宅の典型だった。藤川がお伺いした当初、お子さんが危機的状況にあることにすら保護者の方は気付いていなかった。家庭教師を付ければ、成績が上がるわけではない。しばらく、様子を見ながら指導をするうちに、根本的な問題は親子関係にあるという確信を抱くに至った。そのため、何度かその解決を試みたのだが、ご自身の理想に現実が合致しないことが許せないという姿勢の前に、私の解決策はことごとく跳ね返され、そしてその解決策を打つ時間はなくなり、生徒さんのモチベーションを向上させることは不可能になった。


その後、方針を変更し、少しでも気持ちよく勉強させることを主眼に今日までどうにかこなしてきた。来年度も継続をするお話しを頂いていたのだが、先日学校から成績不良で呼び出されるという事件が起こり、ようやく保護者の方は自身の抱いている理想が現実とかけ離れており、今の自分の子供に高い授業料を払って家庭教師を付けても費用分だけの効果が見込めない、という事実をうけいれたのである。


私としては非常に複雑であった。もし、私がお伺いした当初にこの現実を受け入れて下さっていれば、打つ手はあったのである。もっとお子さんを楽にしてあげて、素直に成長させてあげることが出来たのである。そうすれば、一時はマイナスに見えることも、最終的にはプラスになったであろうと思う。しかし、今、明らかに学力の足りないにもかかわらず有名高校に進学させた結果、地獄のような日々が生徒さんには待っており、そして、もうあの子を助けてくれる人間はどこにもいない。


「落ちるところまで落ちなければ、あの子はわからない。」


確かに、そういう面がないわけではない。あの子に甘えがあったのは事実である。しかし、そもそも全ての歯車が狂いだしたその点について、保護者の方が根本的に考え直さない限り、最悪の事態は放校処分である。そして、あの子はそれを心のどこかで望んでいる。


自分のお世辞にもデキの良くない息子がナンバースクールに行けるという寝言の夢を見る暇があったら、自分達のエゴの結果、完全に歯車が壊れてから回っているもう一人の子供にもう少しで良いから目を向け、地獄から解放してあげて欲しかった。


地獄から解放されれば、あの子は前に進むことが出来たかもしれない。



今日、一つの人気携帯サイトが閉鎖する。


開設3ヶ月、閲覧可能な時間が一日2時間無いサイトが、毎日300ヒット以上を稼いでいたという。


「実録 アル中日記」(というらしい)


私とあの子の、無謀な理想との戦いの、笑いの記録である。




ちょっと、正直、悲しいんです。あの子を救ってやれなかったことが。




あの子は、保護者の方が思っているよりも、ずっと素直ないい子だ。


ただ、自己を表現するのが苦手なことと、家族に対して絶対的な不信感があるだけのことで。