平清盛第11話「もののけの涙」Vamos的解説 前編(朝廷パート編)
の続編になります。
※使用した画像はNHKの公式HPや、録画したドラマの
データから抽出して利用しております。
全て批評目的の引用であり、他意はありません。
1142(康治元年)年正月、平忠盛の屋敷では平氏の一族や
家人達が集まって新年の祝いの宴が開催されていました。
そこでの話題は、今後平氏はどの勢力につくかということ。
新しく国母になった得子、鳥羽の院に忠義を尽くすという者、
更には藤原の摂関家が勢力を盛り返すかも?
といった様々な意見が飛び交います。
※この部分では、青字が家盛(弟)、赤字が清盛(兄)で台詞を色分けしています。
台詞は、ドラマで該当シーンを録画再生で確認して抜粋しております
常識人の弟家盛は、抜群の安定感を発揮している発言ですが...
(家盛)
「今は父上(忠盛)が、三位の公卿になれるかの
瀬戸際にございます引き続き法皇様に忠勤を...」
(清盛)
「あ~あ!(アクビの声でしょう)」
「兄上」
「すまぬすまぬ。あまりに下らぬもので」
「下らぬとは何事ですか
一門の行く末を話し合っておるのですよ!」
相変わらず精神的に子供な清盛
「王家にも摂関家にも、忠勤を励むに値するお方などおられぬ
誰に取り入るか、話し合うだけ無駄じゃ」
兄清盛のいい加減さに、キレ気味の家盛君
「では、いかにして世を渡るおつもりですか」
ある意味抜群の安定感を誇る、「アホの子清盛」です
「たやすいことじゃ!
面白き道を 選べばよい」
あまりの兄清盛のいい加減発言
(何だか、現職副総理である岡田氏みたい...)
に、さすがにキレた家盛
家盛が清盛に対して説教しようとしたところで、
宗子(忠盛の妻)、明子(清盛の妻)、秀子(家盛の妻)
の奥方同盟が登場。管弦の演奏をして、場を和ごませます
ここだけ平安絵巻の世界を演出しております。
ドラマの演出では、この時点では平家物語で見られる
平家武者の優雅な振舞いとは縁遠い描き方になっています。
奥方達の管弦演奏に聞き入る平氏の家人達。
普段は粗野なのに、この場面だけ雅を解する様子なのがウケました!
このシーンは1142(康治元年)年正月の様子として放送された
のですが、壇ノ浦の戦いで伊勢平氏の主流が滅びたのは
1185(寿永4年)年のこと。実に43年間しかありません
現代社会とは異なり、当時の4~50年という期間は
そんなに大きな変化をもたらしはしません
まぁドラマの新年会の時点で若者だった者達が、
壇ノ浦の頃には既に老境を迎える年齢ですから、
世代交代で体質が変わったと解釈するしかありませんなぁ。
家人達に、「その人となりの如く凛としている」と
ベタ褒めされた清盛の妻の明子。明子の実家である
高階家は大した家柄でなく、清盛は純粋に明子の人柄に
惚れて妻とした(第7話。記事は未作成)という経緯があり、
清盛の立場は微妙でした。
しかし家人達に明子の良さが伝わったので、
凄く満足気なマツケン清盛。
しかし、右の二人は奥方達の楽の音を褒め称えるのですが、
左の伊東忠清は、ひたすら食べ続けていて楽の音など
耳に入っていない模様。
公式HPの 登場人物一覧 では、
「根っからの武人で無骨な生き方しかできない男」
と書かれています!なんだか雅な平家武者というより、
無骨な坂東武者の臭いがプンプン漂っている伊藤忠清を
演じている藤本隆宏という役者は、
「坂の上の雲」では広瀬武夫中佐を演じていた人です
広瀬中尉は海軍のエリートの一人で、ロシアに長年駐在武官
として滞在していたのでロシア語にも堪能。アリアズナという
ロシア人のレディとの恋愛シーンもあるという何とも二枚目な
役柄だったのに、「平清盛」では「脳みそまで筋肉」な
バリバリの体育会系キャラを演じているのが、面白いところです。
三つの音色(宗子の琴、秀子の笙(笛)、
明子の琵琶)が見事に調和しておるということじゃ
互いが足りないものを補い、高め合う。
平氏一門が追い求める姿じゃ
忠盛パパも上機嫌で、女三人の管弦演奏を褒め称えます。
場面が切り替わり、平氏は平氏でも、忠盛や清盛の
伊勢平氏とは別系統である平時信の屋敷に場面が移ります。
深キョン時子さんは、相変わらず夢見る少女キャラ。
源氏物語に夢中の乙女全開です。
庭にいた異母妹の滋子の行儀の悪さを時子が叱るのですが、
この滋子は後年稀に見る美人に成長し、後白河天皇の寵姫
となります。時子は清盛の後妻になりますので、それによって
清盛と後白河天皇の間に、強固なパイプが出来る。
それが清盛の出世にも大きく響くことになります。
その滋子ですが、大人になった滋子を演ずるのは
若手女優の成海璃子。なんだか髪にパーマがかかっており、
平安時代の女性にはイマイチ見えない...。
この女優さんは、「ミラバケッソ」のCMでしか知らないため、
登場時が楽しみではあります。
そんな平時信邸に、清盛の妻である明子が訪ねてきました。
どうやら、このドラマでは二人は友人関係という設定のようです。
明子はやんごとないお姫様に琵琶を教えることになったのですが、
一人では心もとないと言って、時子に手伝ってくれないかと
依頼しに来たのでした。
場所が清盛の屋敷と聞いた時子は、第7話(記事は未作成)での
清盛との最悪の出会いを忘れておらず、ひたすらに辞退していたのですが...
明子に押し切られたのか、清盛邸にやって来ます。
しかし練習を始めてすぐ、清盛とその家人達が帰ってきます。
しかも、こんな身なりで...。
武士の屋敷だから当たり前のことではありますが、
雅な楽器の練習には到底向かない環境であります。
これは完全に明子さんの手配ミスでありましょう。
せめて、忠盛パパの屋敷を借りれば良かったのに...。
明子に時子を紹介され、「初めまして」と挨拶した清盛
第7話で二人は二度も遭遇しており、時子にとっては
最悪の出会いであったにも関わらず、全く覚えてない清盛
「いつ?どのようにお会いした?」と時子に尋ねますが、
時子の回想での始めの出会いシーン。
清盛は「どけっ」の一言で、
時子を突き飛ばして走り去りました...。
2度目の出会いのシーン。この時も、時子が
「そこをお空けいただきたいのですが...」と清盛に声をかけたら
「どけっ」の一言で時子を軽くですが突き飛ばして、
走り去った清盛。清盛は綺麗さっぱり忘れ去っているようですが、
時子の方はしっかり覚えてます。とてもじゃありませんが、
この二人が夫婦になるとは考えられない出会いのシーンでありました。
「思い出さなくて結構にございまする」
と時子に言われて、
「妙なオナゴじゃのう」と返す清盛。
「まぁ~、相変わらず無礼な光らない君」
と言い返す時子ですが、このドラマでは無教養キャラとして
描かれてる清盛は、源氏物語のことなど全く知りません。
光源氏のような貴公子との恋に憧れる、夢見る少女な時子と、
その光源氏の対局に位置する、下品で不潔な清盛。
この時点で、既に夫婦漫才は成立していたといえるかもしれません。
男達が相撲を始め、清盛と明子の次男である基盛が相撲で
投げ飛ばされ、母である明子に泣きつくシーン。
余談ですが、この基盛は24歳で亡くなります。兄の重盛も
清盛より先に亡くなりますから、明子の実家の家系は、
弟の基盛が母に甘えるのをみて、兄の重盛も母に甘え出します。
それを見た清盛が、「母に甘えおって」と子供達を掴み、
じゃれ合います。
その様を見て、微笑む明子。夫の清盛がちとアレですが、
まぁ幸せな家族像と言って良い光景でしょう。
二人の子供が相撲をし、それを見守る父と母。
この家族における、一番幸せであった1コマ。
朝廷パートはドロドロの昼ドラと化していますので、
こうした微笑ましい清盛の家庭に癒される
視聴者も多かったと思われます。事実この日の
ツイッターの #平清盛 タグでのコメントでも、
微笑ましい家族の様子や、加藤あい が演じた
明子の評判はとても良かったです。
清盛の第一の腹心として働く盛国に大して、縁談を勧めます。
始めは自分の元の身分が低かったことから、しきりに辞退していた
盛国も、明子に「そなたは立派な武士じゃ」とヨイショされて、
折れました。本当に出来たオナゴとして描かれている明子さん
琵琶を演ずる明子。このドラマで清盛の妻である明子は
琵琶の名手という設定。実際絵的にもよくお似合いであります。
実に出来た奥方である、加藤あい演ずる明子さん
しかし、反NHK的な視線でこのドラマを観ているワタシには、
「朝廷パートを醜くして、その対比で清盛の家庭を
微笑ましく描くNHKの姿勢に、ある意図を感じて
しまう次第であったりするわけであります...。」
平清盛第11話「もののけの涙」Vamos的解説 3 源氏の家庭の事情編
に続きます
「大河ドラマ平清盛」はトンデモドラマだ
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