好きなジブリキャラは? ブログネタ:好きなジブリキャラは? 参加中

 メイったってブライアン・メイじゃないですよ(いや、ブライアンも大リスペクトですけど)。実は私、ジブリ作品って、ほとんど観たことがなくて(せいぜい『ラピュタ~』『千と千尋~』くらいかなぁ)。時々テレビで放映されているのを、つまみ観る程度で。
 ですが、意識的にはじめて頭から最後まで観て、いまだにその魅力に取り憑かれているのが『となりのトトロ』。懐かしいなぁ。初めて一人暮らししていた時に、一人で青いソファに座って観て、なぜか泣けたっけ(いまだにその理由は謎)。
 ジブリ作品の個性豊かなキャラクターは、後付けでそこそこは知っています。でも、『となりのトトロ』のメイは、本当に好きですね。憧れ。羨ましい。
 トトロかどうかは別として、やっぱり大人になって見えてくるものが増える代わりに、見えなくなったものって、あると思うんです。言葉で書くとすごくありきたりですけど。だから、メイにトトロが見える、ということは、直接的に、イノセンスの特権、成長がこぼしていく聖性みたいなものを象徴している(著k説的に象徴というのも矛盾ですけれど)と思うんです。
 あの作品には、様々な布石があちこちにあるような気がして、例えば、メイの姉・さつきには、最初トトロが見えない。いうなれば、一歩大人になろうとしている。あるいは母の病気で、大人になることを強いられている。そういうシチュエーションの縛りを、メイへの原初的な嫉妬を素直な心情として、母への手紙で綴る。もしさつきが大人になることを受け入れ、そうなることを変えられないと諦め覚悟したならば、嫉妬なんかしないワケです。でも、さつきにも子供らしい素直さがあるから、ちょっとやっかんでみせる。それが嫉妬とは言え、素直だから、これが魔法への鍵として機能するんです。「子供でいたい」という本当の叫びを、曲がりなりにも表出させたから、メイの次にさつきも、妖精たちを見ることができるようになる。一足飛びに大人になることに歯止めがかかるんです。
 そして、大人(かつてお化け屋敷に住むことを夢見ていた父や、童心を理解しようとする母)と子供(メイ)の境界を担っていた境界人であるさつきが、大きく物語を牽引し、衝き動かしていく。大人を、子供の世界に引っ張り込んでいく大役を引き受ける本当の主人公へと昇華するのです。
 とまぁ、こんなことを読解しながら観ていくと、『となりのトトロ』はますます深いのですが、いまや大人になってしまった私は、童心そのまんまのメイすらも、妖精のように遠い存在のように思え、あの満面の笑顔にたまらなく魅かれるのです。(了)


スタジオジブリの歌/アニメ主題歌[CD]

帯津良一・帯津三敬病院名誉院長推薦、出版記念講演・青木新門『何のために生き、死ぬの? 意味を探る旅』(地湧社)。

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