敬愛する友人、水野竜生先生の個展、『人の時代 HUMAN EPOCH』展@銀座 ギャラリー桜の木、行ってきました。先生の個展には必ず足を運びますが、いつも仕事の合間を縫って駆けつけることが多く、ここ数回ご本人に会場でお目にかかることができずにいました。
 ところ、今回は先生もいらして、久しぶりにお話などしながら、先生の新作の数々を拝見してきました。なにしろタイトルが『人の時代 HUMAN EPOCH』。思わせぶりですね。古今、人間の誕生以降の地球の歴史は、人の時代でなかった時代はなく、それが同時に、人と地球の関係の歴史でもあったワケですが、どうもその関係に疑問符がつき始めている。長すぎた春?熟年離婚?とまれ、蜜月は本当に去ってしまったのか、あらためて“リアルタイムの人の時代”について、人類がそれぞれのスタンスを見出して以下ねばならない局面に差し掛かっているかと思いますが、話は戻って展覧会。
 以前、東京と上海の人間をテーマに、のびのびと独特のタッチで市井の営みや息遣いを描いていた時期がありまして、その延長ないしはヴァージョンアップか?と思いきや、作風は一変。そこには、面相筆クラスの細~い筆で描かれた記号のような人物画。そして周囲にはなにやら見慣れぬ古代の文字のようなものが。聞けば、「勉強や実験のつもりではじめた甲骨文字にハマってしまって」と先生。この謎の文字の正体は硬骨文字だったのです。曰く「漢字の起源であり、同時に中国語や日本語の起源。今回は、国境はあっても文化圏は同じじゃないか、というアジアのハッピーな関係を、人の時代をテーマに楽しく表現したかった」とのこと。「それに、自分の絵は中国では字のようだ、と言われ、私は絵のような甲骨文字に魅かれてしまったのですが、じゃぁ相性はいいだろう、と思ってすぐに組み合わせてみたんです」と先生。ただ、悩みは「甲骨文字にハマったはいいけれど、そればかり練習していて、気が付いたら絵が描けてなかったり(苦笑)」。ハマり過ぎもコワいものです、いやはや。
 久しぶりに楽しくお話も出来、エネルギーの交感・交歓のひとときにもなって、暑い夏が熱い夏になりそうです。(了)

■開催場所:銀座 ギャラリー桜の木
■開催期間:7月7日(火)~7月18日(土)

帯津良一・帯津三敬病院名誉院長推薦、出版記念講演・青木新門『何のために生き、死ぬの? 意味を探る旅』(地湧社)。

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