今度はスパルタ人の側面からローマ史を。ということで、観ました『スリー・ハンドレッド』。予告編で知って、面白そうだな、とは思ったけれど、なんかマッチョ過ぎて結局敬遠、見送りした作品。
 グラフィック・ノベルの雄にして詩人とも呼べそうなフランク・ミラーのコミックが原作。コミックの映画化、歴史映画ではなく、飽くまで“フランク・ミラーのファンによる、フランク・ミラー・ワールドの映画化”というのがコンセプトだそうで、もう全編フランク・ミラー。要するに、いや勿論、『シン・シティ』と同じ路線です。
 そういう前提があるため、映像における表現の部分はかなり個性的で、インパクトもあり、美しいです。はっきり言って“血みどろな映画”で、個人的には気分のイイものではないんですけど、それでも美しいと思わせるのは、やはり原作者フランク・ミラーの徹底した美意識と、それを忠実に再現した結果なのでしょう。でも、正直画的にはエグい描写が多いですよ。ショッキング、というか…。
 帝国主義のために、巨大な兵力と意外な戦力(象やサイ、それに“不死の軍団”???だっけな)で勢力拡大を目論むペルシャの王クセルクセスの要求に対して、名誉をまもるため気高き300人の精強なるスパルタ兵が挑む!!300人を率いるは、歴戦の勇者にして不屈の王・レオニダス。厳密に史実を描いた映画ではないようですが、ストーリーは一応、紀元前480年に起こったテルモピュライの戦いに沿っています。
 さて。特に起伏のあるストーリー展開があるでもなく、熾烈な激闘の、まさに瞬間を描いているだけなのですが、なかなか魅せますねぇ。映像は、綺麗だけどちょっと重たいかな、と思えた私ですが、ストーリーテリングの点ではむしろ叙情たっぷり詩情たっぷり。そんな気がしたんですが。ギュスターヴ・ドレのイラストのように、生々しいのにどこか醒めている。そんな気がしたのは、極端に感傷を削り、余計な台詞は一切話さないハードボイルド・タッチの造りの中で、テンポというか、間の取り方がなんとも巧いからなんです。言うなれば、コミックで読むような味わい方を、一方的に発信される映像のフォーマットで実現してしまった、というイメージでしょうか。あるいは、コミックの持つテンポの良い所を映像にうまく置換した、というか。そこになんとも間や空白が生む、独特の余韻を感じるんです。
 しかしまぁ、冒頭はスパルタ兵の製品案内ですよ。屈強にして勇敢な誇り高きスパルタ兵はこうして作られます。ってな。こうやて鍛えるから、どんな条件下でも大丈夫。うーん、スパルタ人に生まれなくて良かった。私には向いていないと思う…。
 しかし、戦いの申し子、ヘラクレスの末裔とまで称するスパルタの、さらに選り抜きの300人。これを率いるんだから、演じるジェラルド・バトラー、ナイーヴな仮面なぞつけていられません(笑)。ファントムから一転して、筋肉ムキムキのレオニダス王に変身。何でも、「英国俳優はカラダが良くない」と言われて奮起した上での役作りですから、そりゃぁもう(よくないカラダって…オビ・ワンさんとかジュードさんのコトかなぁ。ファンだけど)。というか、出てくる人みんな腹筋の権化(笑)。
 なんて言うのかなぁ、プチプチ枝豆(ってご存知ですか)とか、ガチガチに凍った保冷材みたい。ちょっとコワいかも。リアルではあるけど、肉感的でない映像のタッチなのに、もう全編肉弾戦。弾ける肉、肉、肉。
 そうそう、公開当時、クセルクスに扮したロドリゴ・サントロがブラジル出身っていうんで、ちょっと興味湧いたの思い出しました。この映画では怪しい&妖しい役回り。
 ところで、こちらの映画の映像特典は必見ですよ。こういうのがホントの特典ですよ。監督がワーナーに映画化を決定させるために作ったサンプル6プレゼン用風ショートムービーが収録されているんですけど、貴重です。見せ、説得する材料とはこうあるべきか!!と。この映像特典、メニュー画面で「隠しボタン」で見られることになっているんですが、ボタンが全然隠れていない…。
 『スリー・ハンドレッド』。インパクトある一本でした。インパクト…とともに、デジャヴュが…。あ、なんかこの映画、子供の頃海外のテレビで観たハリーハウゼンものっぽいかも。質感が…。(了)


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スリーハンドレッドアートブック


スリーハンドレッド原作コミック


∞エダマメ 豆しばVer.(2008年9月下旬発売予定)
▲これこれ、ぷちぷち枝豆。あ、∞エダマメって言うのか…。


珍種発見!?∞エダマメ(珍種! 紅芋エダマメ)


珍種発見!?∞エダマメ(珍種! レモンエダマメ)


珍種発見!?∞エダマメ(珍種!ニンジンエダマメ)


珍種発見!?∞エダマメ(珍種! ミントエダマメ)
▲って、こんなに色バリあったとは!!

「旅から、音楽から、映画から、体験から生死が見える。」 著書です:『何のために生き、死ぬの? 意味を探る旅』(地湧社)。推薦文に帯津良一・帯津三敬病院名誉院長。