ボヴァリー夫人(’33)
原作:ギュスターヴ・フローベールの同名小説
監督:ジャン・ルノワール
映画 『ボヴァリー夫人』 を最初に観たのは、イザベル・ユペールがその人演じた
クロード・シャブロル版。 最近では、ファブリス・ルキーニ演じるパン屋が同じ名の
“ボヴァリー夫人” に小説と重ね合わせて妄想を膨らませてしまう
『ボヴァリー夫人とパン屋』 なんてのがありました。
今回、ルノワール版 『ボヴァリー夫人』 を観る機会に恵まれたのですが
これは、さすがに原作、読まないと・・・・・・・がんばって読みました~。
田舎医者シャルル・ボヴァリー(ピエール・ルノワール)の美しい妻
エマ・ボヴァリー(ヴァランティーヌ・テシエ)は、凡庸な夫との
単調な生活に死ぬほど退屈し、生まれつきの恋に恋する空想癖から
田舎貴族で女たらしのロドルフ(フェルディナン・ファーブル)と
公証人の見習いで純粋なレオン(ダニエル・ルクルトワ)と
情熱にかられて虚栄と不倫を重ね、ついには身を滅ぼす運命へ・・・・・。
原作があまりにも素晴らしかったので、映画観なくてもいいかなあ~
なんて思ってしまったのぐらい(笑) せっかくだから観ましょうよ。
原作の感動冷めやらぬうちに観たおかげ、というのもあったのですが
おおおっ、読んだイメージどおりの画だ! 細かい描写の多い原作なのに。
細部にこだわって、原作を忠実に再現したルノワールの力量に感服!
ボヴァリー夫人がレオンに、お別れの手紙を書いて渡そうとするんですけど
レオンに手紙を押しのけられ、そのままズルズルと馬車に一緒に乗せられる。
走る馬車の窓から、破られた白い手紙がひらひらと舞うという・・・・・
原作の中で1番好きなシーンなんですけど、もう、映画も原作のとおりっ!
ありがとう。ルノワール ってお礼を言いたいぐらい(笑)
最後、ボヴァリー夫人が 「盲人よ!」 と叫び、笑い出すシーンも
フローベールの文章をそのまま映像にしましたっていうぐらいリアルで・・・・・
原作に忠実に、リアリズムに徹する。というのは、役者の予測不可能な動きを捉え
生き生きとした人間的な姿を描いてきた、当時のルノワール作品では異色かも。
映画完成時は、190分という大長編だったらしいのですが
製作会社にズタズタに削除され、99分にまで短縮されたらしい。
削除されたフィルムはすべて廃棄され・・・・廃棄? 捨てた?
捨てるなら、なんで私にくれなかったの?(笑) 観たかったな~完全版。
フローベールの原作は、風俗壊乱の罪で裁判沙汰になるんですけど
法廷に立ったフローベールが 「ボヴァリー夫人は私だ!」 と言ったらしい。
フローベールが自分自身を投影した “ボヴァリー夫人”
彼のお眼鏡に適う “エマ・ボヴァリー” は誰なんだろうなんて妄想してみる。
少なくとも、この映画のヴァランティーヌ・テシエではない。豊満すぎる(笑)
イザベル・ユペールは、イメージからは、そんなに遠くないと思う。
あ、そうそう。日本ではまだ公開されていないんですけど
ミア・ワシコウスカが “ボヴァリー夫人” を演じてるみたいです。
『ジェーン・エア』 にも出ていたし、うんうん悪くない。
でも、ちょっと若いかな? もう2~3年、熟成させた方が・・・・・(ワインかっ)
あ、ダニエル・ダリューなんて、いいんじゃないでしょうか?
虚空を見上げながら、空想にふける姿が目に浮かんできます。
ただですね、彼女は、現在、98歳なんですよね~(笑)
フローベール原作の小説をジャン・ルノワール監督が映画化。
退屈な日常から抜け出そうとする主人公の心理描写をリアルに描いた作品。
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