二重の鍵 | Untitled



二重の鍵(’59)フランス国旗


原作:スタンリー・エリンの「ニコラス街の鍵」

監督:クロード・シャブロル


前作 『いとこ同士』 が当たったから、お金かけてカラーで撮っちゃいました。

クロード・シャブロルにとって、初カラー、初スリラーの長編三作目。

さらに 『勝手にしやがれ』 以前のジャン=ポール・ベルモンドの瑞々しい姿も。。。



南仏エクサン=プロヴァンス郊外の邸宅を舞台に

隣家の若い娘レダ(アントネラ・ルアルディ)を愛人とする当主アンリ(ジャック・ダクミーヌ)

主人の裏切りに気づきながら耐える妻テレーズ(マドレーヌ・ロバンソン)

母親離れできない長男リシャール(アンドレ・ジョスラン)、おとなしい長女エリザベート

(ジャンヌ・ヴァレリー)とその婚約者の粗野な若者ラズロ(ジャン=ポール・ベルモンド)

らが織りなす一見平穏な、しかしその水面下では一触即発の日常。

そんなある日、諍いの元である愛人レダが他殺体で発見される……。



「ブルジョワとはウソと美食と、姦通と殺人にしか生きがいを見出さない」

などと、シャブロルは考えていたそうで、この作品もブルジョア家庭に潜む

偽善や愚かさを、辛辣なまでの視線で映し出しています。

不倫している身である当主アンリが、妻テレーズになじる言葉がすごい。

「ウジ虫!偽善者!卑怯者!ババァ!老いぼれめ!!」

こんな台詞を言わせるシャブロルに悪意すら感じる(笑)

更に、せっかくカラーで撮るんだから・・・と、独特な色彩で訴えかける。

邸宅内のシーンでは、緑色、スミレ色、深紅色といった色彩を使い圧迫感を与え

屋外のシーンになると、朝のバラ色の光から夕暮れ時の紫がかったピンク色

といったプロヴァンス地方の美しい風景が広がる。



ところで、物語の鍵になるであろう “二重の鍵” は劇中に一切登場しない。

原題「A Double Tour」は、鍵を二度廻す=厳重に戸締りする。という意味。

物語の中で、二度訪れる大胆なフラッシュバックに本当の “鍵” が隠されており・・・・・

二度廻すのは鍵ではなく 「××××」 だった!!

『赤と黒』 以来、この人にまた会いたい。。。。と想い続け

やっと会えました。レダ役のアントネラ・ルアルディ(画像2の人ね)

メイド役のベルナデット・ラフォンも小悪魔的な魅力たっぷりで

ドロドロした展開の中、良いアクセントを加えていました。

昨年(2013年7月)に亡くなっていたのですね。

ヌーヴェル・ヴァーグの映像作家に重宝された女優さんでしたね。


→ クロード・シャブロル監督作品


クロード・シャブロル監督の初カラー作品となる心理スリラー。
南仏エクス=アン=プロヴァンスにある邸宅の主人は、隣に愛人を住まわせていた。
妻は夫の裏切りに耐え続ける日々を送っていたが、ある日諍いの元である愛人の他殺体が発見され…。
二重の鍵  [DVD]/マドレーヌ・ロバンソン,アントネラ・ルアルディ,ジャン・ポール・ベルモンド

¥3,990
Amazon.co.jp