アンナと過ごした4日間(’08)
監督 : イエジー・スコリモフスキ
『エッセンシャル・キリング』 が、そんなに嫌いじゃなかったので
というか、かなり好きだったので、スコリモフスキ監督の過去の作品も。
これもかなり好きだっ。 さえない中年男による究極の片思い映画。
病院の火葬場で働きながら、年老いた祖母と二人で暮らすレオン(アルトゥール・ステランコ)
彼の楽しみは、向かいの看護師寮に住むアンナ(キンガ・プレイス)の部屋を毎晩のぞき見ること。
そんなレオンは、男にレイプされているアンナの姿を目撃し
警察に通報するものの容疑者として逮捕されていたという過去があり
釈放後、彼なりに遠くから愛しい人を見守っていたが、ある日、大胆な行動に出る・・・・。
“純愛” と “変態” は、紙一重なんですね。
人を好きになったら直接、告らないと気がすまない人もいれば
レオンのように遠くから見守ることしか出来ない人もいる。
彼には悲しいかな、こういう愛し方しか出来ない。
お店でアンナとニアミスしても顔を隠し逃げ出してしまう。
しかし、アンナが熟睡している間に部屋に忍び込むという大胆な行動に出るレオン。
原題を直訳すると 「アンナと過ごした4夜」 になるそうだけど
否が応にも性的なものを想像してしまう。
が、しかし、レオンの愛し方はちょっと違う。
1日目。 アンナの服をボタンのほつれ直す。
2日目。 床を拭き、アンナの足指にペディキュアを塗る。
3日目。 アンナの誕生日。正装して花束と指輪を届け、部屋を掃除する。
4日目。 壊れた鳩時計を修理しようと回収・・・・・そして。。。。。
アンナのパジャマがはだけて、胸があらわになっても触れることすらできないレオン。
アンナの身の回りの事に気がいってしまうレオン。
スコリモフスキ監督が、レオン役にアルトゥール・ステランコを選んだ決め手が
オーディションの時、ドアをノックして片目だけ出しドアの隙間からこちらを覗き込み
自分はここに来ちゃっていいのかな。今にも謝りそうな様子だったんだそう。
ヒッチコックの 『裏窓』、パトリス・ルコントの 『仕立て屋の恋』 に
どれだけ影響を受けたはわかりませんが、スコリモフスキ独自の世界観を感じられます。
雲が重くたちこめ、時が止まったようなポーランドの郊外の風景。
虚無感を漂わせ、絵画的に見せる映像の美しさ。
きっと、私個人的にもポーランド人監督の感覚が好きなんだと思います。
ポランスキー、キェシロフスキ、ズラウスキー、そして、スコリモフスキ。
4人すらすらっと言えた方は、かなりのシネフィル(笑)
愛、愛、愛、すべては、 愛ゆえに。
恋する男の狂おしい情熱を鮮烈に描いた究極の“片思い映画”。
アンナと過ごした4日間 [DVD]/アルトゥル・ステランコ,キンガ・プレイス,イェジ・フェドロヴィチ
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