エッセンシャル・キリング(’10)
監督 : イエジー・スコリモフスキ
旧作に下りてきたら観てやろうかぐらいに思っていましたが
いやいや 「サバイバル・アクション」 なんていう枠組みでは収まらない怪作。
アフガニスタンで米兵を殺害したことで、米軍に拘束された男ムハンマド(ヴィンセント・ギャロ)
収容所で激しい拷問を受けた後、軍用機で別の場所へと移送される。
やがて、護送車で移動中に事故が起こり、彼はその混乱に乗じて脱出に成功する。
しかし、そこは右も左も分からない雪深い森の中。
それでも追っ手から逃れるべく、やみくもに逃げて、逃げて、逃げまくる。
83分間、台詞を一切しゃべらないヴィンセント・ギャロ。
蟻や樹皮や木の実で飢えをしのぎ、人間の生存本能をむき出しにして
エッセンシャル・キリング(必要不可欠な殺し)
を繰り返し、生き抜くために果てしなく逃げる。
そして、ハッと息を呑むような美しい雪景色。
キラキラ光る雪の結晶。河のせせらぐ音。
大自然の美しさが余計に暴力性を際立たせているよう。
ムハンマドは喋らないし、米兵の尋問は砲撃の影響で聞こえない。
一旦は降伏しようとしたけど米兵に気づかれない。
迷い込んだ民家の住人エマニュエル・セニエ(ポランスキーの奥さん!)は聾唖者。
言葉によるコミュニケーションの欠如がテーマとしてあったのかな。
ポーランドの巨匠、イエジー・スコリモフスキ監督が、台詞を一切排除し、83分間逃げまくる男を描いたノンストップアクション。
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