彼女について私が知っている二、三の事柄 | Untitled





彼女について私が知っている二、三の事柄(’66)フランス国旗イタリア国旗


監督 ジャン=リュック・ゴダール


映画の原案は、週刊誌に掲載されたアンケート調査

その結果にあらわれた、売春を含む主婦の姿を、引用のような淡々とした日常を追っています。

でも、売春行為の実態に迫るような、生々しさは一切ないです。

ちょっと!あなたが食べてるの消しゴムですよ!

俳優たちは、ドキュメンタリーに出てる一般人を引用したような

わざとらしい、よそよそしさで演技してます。

例えば、カメラ目線で台詞を棒読みとか(笑)

一見ドキュメンタリー風だが、具体的な対象を追うわけでなく

主人公のマリナ・ヴラディも、全体の中の一部で

タイトルの “彼女” とは、あらゆるものを抱えた

女性名詞である “パリ” のことだともゴダールは語ってます。

また、ゴダールは 「現代社会では我々は、多少とも一種の売春行為を行っている」

ちょっと!あなたが食べてるの消しゴムですよ!

ある女がバスルームで入浴していたら、ドアを誰かがノックするんです。

普通、家族だと思うじゃないですか。

「フランス電力です。 メーターは?」

「5万フランだ!」

ちょっと笑ってしまいました。

その後、ナレーションで

「やっと入った団地での生活。払いを考えずに、ガスや電気を使い過ごす。」

消費社会への警告、ということなんでしょうかね。

ちょっと!あなたが食べてるの消しゴムですよ!

あと、子供にベトナム戦争のことを語らせたり

その子供の宿題が、「同士愛」という作文なんです。

淡々と読むんですけど

「男女共学で、同士愛は可能か?」 とか

「意見が衝突」 「折り合いをつける」

どんだけ大人なの(笑)

読み終わったら、オモチャの拳銃でカメラに向かって、ダダダダダダッ!!

なんか寒気しましたね。

ちょっと!あなたが食べてるの消しゴムですよ!

マリナ・ヴラディが、泣きじゃくる子供を売春宿に預けて

しれっとショッピングに行くのも、少し怖かったですね。

売春宿では 「あと3分」 とか言ってるのに・・・

子供は、何が 「あと3分」 なんだろうって思いますよね。

車に子供を乗せたまま、お母さんはパチンコに熱中してしまい

子供が熱中症になってしまった。なんてニュースでありますけど

「主婦売春」 に、限ったことではないですね。

ちょっと!あなたが食べてるの消しゴムですよ!

あ、そうそう、客をホテルに連れ込んだ時

壁のポスターが、溝口健二監督の 『雨月物語』 だったんです。

本筋とは全く関係ない、貴重な情報でした(笑)






ニュータウン建築が進む1966年のパリを舞台に団地に住む主婦の実態をドキュメンタリー・タッチで描く問題作
彼女について私が知っている二、三の事柄 HDニューマスター版 [DVD]/ロジェ・モンソレ,ジュリエット・ベルト,ジャン・ナルボニ

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