不良少女モニカ(’52)
監督は、イングマール・ベルイマン
このベルイマン監督、アカデミー賞外国語映画賞を、3度も受賞しているのにも関わらず
その受賞作はおろか、彼の作品すら、レンタルでは、なかなか見つからない。
少し話は逸れますけど、単館系の映画館が次々と閉館に追い込まれ、
逆にシネコンの売り上げが UP しているという現状
上質な作品が観たくても観れず、過剰な宣伝で売りたい作品を観させられる。
嗚呼! 悲しき日本映画界・・・
では、上質な映画の紹介
春のストックホルム。下町の瀬戸物店で配達係をしている青年ハリイは、モニカという17歳の少女と知り合った。
彼女は家庭的にめぐまれず、いつしか不良の世界に足をつっこんで、奔放な生活を送っていた。
彼らの若さ故のエネルギーの暴走と、その後に訪れる厳しい現実
その姿を、徹底的に突き放して描いております。
意外と細かい描写が気に入っていて、ハリイからプレゼントをもらったモニカは
喜んで包み紙を荒っぽく破って、ポイッと放り投げるんです。
普通、好きな人からプレゼントを貰ったら、包み紙も大事にしたいだろうに・・・
あと、ハリイの父親が入院することになっても
「じゃあ、今晩わたし泊まれるね」
彼のお父さんの病状は、どうでも良くって、ハリイと寝たいことしか考えてない。
大人になりきれていないのに、外見は美しく成熟していく。
彼女は、その歳の女の子らしく、恋がしたい、服が欲しい
そういう単純な思いだったろうに、現実の世界になかなか向き合えない。
このモニカ役の、ハリエット・アルデンセン
みずみずしく、そして野性的
ハリイと家出をして、民家に食べ物を盗むんですけど、肉の塊をむさぼるように食べるんですよ。
野生の動物のように、がっつくんです。
あと、画面に向かって悲鳴を上げながら突進してきたりして
若さゆえの、止まらない暴走ぶりが、嫌というぐらい伝わってくる。
子供ができて、ハリイと一緒に暮らしはじめる。
家庭を持ち、責任が芽生えて、現実世界に向き合ったハリイ
でも、モニカは取り残されてしまう。
赤ちゃんが夜泣きしても、ハリイに面倒を見させ
「泣かせないでよっ!」
育児やハリイとの慎ましい生活なんかより、自分の肌の張りが気になる。
モニカが、観客に向ける挑発的な視線
これから起こる事を暗示させているのですが
こちらに視線を向けているのだろうけど、もっと遠くを見つめているようで
「みんな大嫌い! 私は私のやりたいように生きるのよ!」
そんな想いだったのでしょうか・・・・
後のフランス、ヌーヴェル・ヴァーグの誕生に大きく影響を与えたと言われるベルイマン監督
なるほど、フランソワ・トリュフォー監督の 『大人は判ってくれない』 は、
今作品を意識しているようにも思えます。
孤独な青年・ハリーは、奔放な少女・モニカと出会い結婚、やがて子供が生まれる。しかし、退屈な貧乏暮らしに飽きたモニカは・・・
不良少女モニカ [DVD]/ハリエット・アンデルソン,ラルス・エクボルイ,ダグマール・エベッセン
¥5,040
Amazon.co.jp