大いなる幻影 | Untitled



大いなる幻影(’37)フランス国旗


監督は、ジャン・ルノワール


'16年、第一次大戦下のヨーロッパ。

スイスの国境に近いドイツの捕虜収容所を舞台に描いた反戦映画

収容所には、フランス人の貴族出身のピエール・フレネー(画像右)

庶民出身のジャン・ギャバン(画像中央)、ユダヤ人のマルセル・ダリオ(画像左)が収容されており

マルセル・ダリオって 『カサブランカ』 でルーレット回してた人ですよね。

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台詞の中で、おや? と思ったのがあって、ピエール・フレネーが


「ゴルフ場ではゴルフをし、テニスコートではテニスをし、収容所では脱走する」


と語ってたのですが、これって 『勝手にしやがれ』 で、ジャン=ポール・ベルモンドが


「密告屋は密告し、殺し屋は人を殺し、恋人は恋をする」


ジャン=リュック・ゴダール監督は、この映画から引用したのですかね。

ちょっと!あなたが食べてるの消しゴムですよ!

収容所の所長のドイツ人エリッヒ・フォン・シュトロハイム(画像右)は、同じ貴族出身で同じ将校である

ピエール・フレネーに対し最大限の敬意を払います。

大きな時代の転換の中で、貴族階級が滅んでゆくことを共に感じとっている。

そんな時、ジャン・ギャバンとマルセル・ダリオの脱走を手助けするためにピエール・フレネーは、おとりになるんです。

シュトロハイムがピエール・フレネーに対し


「戻ってください。男としてお願いする」


やむなく撃ってしまうのですが、その後の2人の会話がたまらない。


「お許しください」

「私の方こそ、どこの国の人間にとっても義務は義務です。」

「痛みますか? 腕が未熟でした・・・・」



シュトロハイムは、この後、手塩にかけて咲かせた植木鉢のアオイの花をハサミで切り取るんです。

ルノワール監督の人間愛を感じるシーンでした。

ちょっと!あなたが食べてるの消しゴムですよ!

ジャン・ギャバンとマルセル・ダリオが転がり込んだ、戦争未亡人のドイツ人女性と娘の交流も、愛に満ち満ちていた。

娘のために、ささやかなクリスマスパーティーをするところは、もうたまらない気持ちになった。

ジャン・ルノワールって、お父さんは、印象派の画家ピエール=オーギュスト・ルノワールで、

敷居の高い芸術家のイメージがあるけど、ルノアールでござい! っていう様なところが全然ない。

フレンチ・カンカン』 の時にも書きましたけど、上品だけど気取ってない。

ルノワールの、映画に対する愛情、人間に対する愛情がとても伝わってきました。


ラストの台詞

「戦争なんか二度と起こして欲しくないな」

「いや、それは君の幻影さ」


今作の2年後、第2次世界大戦が勃発します。



第1次世界大戦下、ドイツ軍の捕虜となり、収容所からの脱走を試みるフランス軍兵士2人の姿を描いた作品。
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