奇跡の海(’96)
監督は、 『ダンサー・イン・ザ・ダーク』 の、ラース・フォン・トリアー
『ダンサー・イン・ザ・ダーク』 が、ダメだった人はこっちもダメでしょう(笑)
以前、この作品を観たときは、う~ん・・・・・って感じだったのですが、いやいや、前回は一体何を観てたの?
というぐらい、心揺さぶられた。
『ダンサー・イン・ザ・ダーク』 より、いいんじゃないか、というぐらいでした。
今回も、手持ちカメラで独特の映像を創り出し、ジャンプカットも多用して、トリアー監督いわく
「感情の頂点を映像にした」 と語っている。
※ ジャンプカット=画面の連続性を無視して、カットを繋ぎ合わせること。 Wikipediaより
また、エミリー・ワトソンにちょいちょい、カメラ目線の演技をさせるという、常識破りなこともしている。
結婚式のシーンで、新婦エミリー・ワトソンが入場してきて、カメラに向かってベロ出すんです。
素人のホームビデオかっ と、思わせるほどアットホームで自然な感じが出てました。
過激な性描写がありますが、あれはいるの? という意見もあるかと思いますが、私はいると思います。
中盤から終盤の展開を考えると、序盤の、とことん愛し合うシーンは非常に重要だと思います。
そういう中でも微笑ましいシーンがあって、旦那のステラン・スカルスガルドが、いびきをかいて寝ているんですけど
エミリーが、そのいびきで寝れない。だけど、そんな状況が嬉しくて嬉しくてしょうがない顔するんでよね。
可愛らしい。でも結局、耳ふさぐんですけどね(笑) (下の画像)
その後、旦那のステランが事故で全身不随になるわけですけど、ステランが嫁のエミリーに言ったこと。
「男のエゴだ」 「ただの変態だ」 と、思われてもしょうがないですけど、特に女子の方々には受け入れがたいものかも。
映画全体、男目線で描かれてますし。
でもですね、少しわかるんです旦那の気持ち。
男として不能になるというのは、この上ない屈辱。そして、嫁の将来を考えると・・・・
過激な性描写はあるんですけど、非常にデリケートな映画だと思います。
そういうデリケードな部分を映像化したトリアー監督は、映画作るときには何かやらかそうと思っているのですね。
エミリーも、少し精神が病んでいるような設定でしたけど、ただ真っ直ぐな女性なんだと思います。
教会の体裁しか考えない神父よりも、神を信じてます。
教会で神と対話するシーンは好きですね。と言っても、自分で神に問いかけ自分で答え、
それを神との対話と信じているんです。
そして、個人の信念が教義を打ち負かすんです。
エミリー・ワトソンは、舞台では実績を積んでいたものの、これが映画初出演だったんですね。
鬼気迫る演技とか、体当たりの演技と世間では評されてるようですけど、私は少し力を抜いたときの彼女が好きですね。
出稼ぎに行っている旦那と公衆電話で話しているとき、少し卑猥な言葉を言おうとして、ちらっと教会の方を見るんです。
とてもキュートで可愛らしい。
また、『ダンサー・イン・ザ・ダーク』 でいうと、カトリーヌ・ドヌーブの役割を担ってたのが
カトリン・カートリッジ(画像右)が、エミリーを支える役でとても効いてた。
彼女の出演作も色々観てみたいなと思ってたら、'02年に41歳の若さで肺炎と敗血症の合併症で亡くなったそうです。
もったいない。
※参考 Wikipedia
カンヌ国際映画祭審査員特別グランプリ受賞作
カンヌ国際映画祭受賞作
スコットランド北西部の小さな村を舞台に、献身的な女性が体験する愛の奇跡を寓話的に描いた作品。
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