アイズ・ワイド・シャット | Untitled
$ちょっと!あなたが食べてるの消しゴムですよ!-eyes


「目をぱっちり閉じる」 という、実際には成立しない文章だが

「手で顔を覆いつつも、その手の間からしっかりと見る物は見ている」 という意味





アイズ・ワイド・シャット(’99)アメリカ、イギリス


原作は、アルトゥール・シュニッツラーの『夢小説』

監督は、今作が遺作となった、スタンリー・キューブリック


ラブ・ストーリー?

エロティック・サスペンス?

ダーク・ファンタジー?

そんな、チープなジャンル分けは無意味なものだと思う。

芸術的なまでの世界観には、ため息しか出てこない。

$ちょっと!あなたが食べてるの消しゴムですよ!-アイズ

何度となく今作品を観ているが、観れば観るほど奥深いものを感じる。

特に、今回強く感じたのは映像美

タクシーのテールランプさえも、美しく映し出されていた。

トム・クルーズとニコール・キッドマンの絡みのシーンが美しいのはもちろんだが、

2人の電話のやり取りでの、双方の暖色系・寒色系の “色合い” のギャップ

トムが朝帰りした時、閉めきられた部屋の照明とカーテンが開けられ薄明るい寝室

この2つの部屋の “色合い” のギャップ、こういった映像美が見事だった。

$ちょっと!あなたが食べてるの消しゴムですよ!-アイズ

2時間39分という長編だが、常に高い緊張感で時間の長さを感じさせない。

妄想なのか、現実なのか、嫉妬と欲望、トムが迷い込む不可思議な世界

あの世界が、人間の心の奥底をえぐりとったものだと思う。

タイトルのとおり、見てはいけないものを見せつけられるような感覚

罪悪感と快感が、行ったり来たりする。

$ちょっと!あなたが食べてるの消しゴムですよ!-ニコール

ニコール・キッドマンが、美しい女性だというのは誰もが認めるだろうけど

ここまで美しく魅せるのは、キューブリックしかいないと思う。

今後、どの監督が撮っても、ここまでの美しさは難しいだろう。

$ちょっと!あなたが食べてるの消しゴムですよ!-トム

トム・クルーズ、実は演技派

うつろになった目、息遣いだったり、顔のゆがめ方、1度“トム・クルーズ”というネーム・バリューを

取っ払って彼を観て欲しい。

有名になりすぎて、出演作には絶えず、お金を勘定する音が聞こえる。

ちょっと気の毒な気もする。ニコールにも言えることだが。

$ちょっと!あなたが食べてるの消しゴムですよ!-仮面

今作品は、撮影期間が400日以上に及ぶギネス記録となった。

N.Y の街並みは全てロンドンロケ。

クルーズ夫妻(当時)は、この作品に臨むためロンドンへ移住していた。

これが離婚の原因とも言われている。


1999年3月2日、キューブリック、トムとニコール、ワーナー・ブラザーズスタッフの

4人による極秘の0号試写が行われるが、5日後の1999年3月7日にキューブリックは急死する。

“ビッグカップル共演” “キューブリック、12年振りの新作で遺作”という話題性ばかり先行して

「期待外れ」「駄作だ」などと酷評を受けたが、10年ほど経った今、改めて見直してみる

必要があるのではないだろうか。

ともかく主演2人には、今作がキャリアの中で最高作と胸を張って言ってほしい。

そう言っている私自身も、この映画の奥深さを、もっと理解したいと思っている。


劇中で Chris Isaak / Baby Did A Bad Bad Thing が使われたが1シーンのみ

いくつものシーンに使いたいところだが、そこはキューブリック、心憎い。

ニコールの最後のセリフがあの言葉とは・・・・

キューブリック、有終の美を飾った傑作。




ニューヨークに暮らす開業医のビルは、美しい妻アリスとなに不自由なく幸せな生活を送っていた。ある夜、知人のパーティから帰宅した彼は、妻からセックスにまつわる衝撃の告白を受ける。
アイズ・ワイド・シャット [DVD]/トム・クルーズ,ニコール・キッドマン

¥1,575
Amazon.co.jp