陸前高田移動販売:お客様と呼吸を合わせて | touhokuteamのブログ

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経済復興チームの土岐です。
移動販売車6台目をご紹介します!

昨年9月後半から移動販売を開始した菊池さん。
震災前は大手スーパーマイヤで店長を勤めていました。震災後の住民の買い物の不便さを慮って、会社を辞め、移動販売を始めることを決意しました。

写真:移動販売車と菊池さんご夫婦

菊池さんは朝、陸前高田のマイヤで品物を仕入れます。昨日売れたものと在庫数、そして今日行くお客様の顔を思い浮かべながら、何を仕入れるかを決めていきます。

10時頃、品物がぎっしりつまった移動販売車で出発します。

 

写真:マイヤでの仕入れ

菊池さんが回るところは、陸前高田と大船渡の仮設住宅と、集落の個人宅です。大船渡の綾里地区は、以前はスーパーなどのお店があったのですが、震災後に再開の見通しは立たず、人々の買い物先は限られています。また仮設住宅には足の悪いご高齢の方、車を持っておらず徒歩圏内へしか出かけられない方もいらっしゃいます。そんな方々は菊池さんの移動販売を心待ちにしています。

民家の隙間に車を停めると、菊池さんと奥様は手際よくカゴを車から出して組み立て始めました。
その上に、車に詰め込んであった魚、パン、野菜を次々と並べていきます。車両の周辺は、突如出現したマーケットのよう!


写真:民家の間に車を停め、音楽を鳴らします

 
写真:カゴの上に並べられた魚の干物・すり身・刺身

写真:ボックスに入れた野菜・くだもの

(菊池さん)「半年やってみて、いろんなお客様の顔とか好みとか覚えたよ。それに合わせてやっているんさ。例えば、いつも杖ついて来るおばあちゃんがいるんだけど、自分で荷物持てないから、『りんご』『パン』とか指さすのさ。それでそれを袋に入れて、お金を受け取って、『手の空いた時、家さ届けに行いくな』と声かけると、杖ついて帰っていくんだ。」
(奥様)「そうだべな。耳の遠い方には(仮設住宅の)戸口まで行って声掛けるし、注文取りに行って届ける人もいるし、車(歩行補助器)押してくる人には箱用意して積んでやるし、いろんな人がいるんよ。」
(菊池さん)「声かければいいってもんじゃなくて、新しく入ったもの知りたい人とか、だまって見てパッパッって選ぶ人とか。その人の呼吸に合わせてやらないとイカンな。」

 

写真:お客さんの要望に応えてあらゆる商品が積まれています

(土岐)「そうなるまでに、時間もかかったのではないですか?」
(菊池さん)「始めの頃は、『鉢植えないんかぁ?』と言われれば遠野まで行って仕入れてきたし、「さんま売り切れたのか。食いたかったなぁ」という声あれば買って届けたし、りんごの直送も仕出しも利益なかったけどやったなぁ。だんだん、お客さんと心が通じるようになって、今はお客さんが『○○美味しいからあんたも買え』って別なお客さんに勧めてくれたり、着くとみんなで待っててくれたりすんなぁ。」

 

写真:手押し車を押して買い物に来る方々

お客さんは皆、カゴを片手に商品を次々選んでいきます。お会計する頃には買い物カゴはぎっしりです。

 

写真:買い物カゴのお会計をする菊池さん

昨年9月に始めた菊池さんご夫婦。
移動販売の手応えを掴み、お客様の心を掴み、そしてお客様に長く応えられるようするにはどうすればいいかを考えながら、菊池さんご夫婦は今日も出かけていきます。


本シリーズ(陸前高田の移動販売)は、6回目の今回で最後です。
ブログでのご紹介はなくても、陸前高田では事業者の皆さんが日々活躍されています。
どうぞ応援してください!

経済復興チーム:土岐