M3-2016春について

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ムラサキノオトのM3-2016春のスペースは第一展示場M-22aです。
当日は残念ながら新作の頒布はありません。
前回のM3-2015秋で頒布できなかった「群青」など旧作を少部数ですが
持っていきます。
どうぞよろしくお願いします。

(がんくま)
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amazonで2,380~2,580円位と格安で売られている中国製のコンデンサーマイクの改造話です。改造手法自体は他の方のブログで書かれている内容を忠実に真似させていただいただけなので、詳細はそちらをご参照ください(本文末にリンクがあります)。私が購入したのは FLOUREON BM-800 です。代引きでポチった翌日には自宅に届きました。
BM800 パッケージ
値段が値段なので業者の仕入れ値いくら位なんだろう?と、alibabaで検索したら$9~$15位であるようです。マイク本体だけでなくショックマウント、風防、USBオーディオインターフェース、マイクケーブルまで付いてくるのに安っ!!といっても改造するとプラグインパワーでは使えなくなるので、USBオーディオインターフェースとマイクケーブルは使えなくなってしまうのですが・・・。ちなみにこのマイク、「萌声(MengHeng)BM-800」というブランドでも売られています。
BM800 萌声1BM800 萌声2BM800 萌声3
正直まぁこの外装(ロゴ)にはちょっとひくが(^_^;)
萌という言葉も日本的意味のまま中国語で通じるようになったか・・・。

海外サイトではLDC(Large Diaphrum Condencer microphone)と称して売られていますが、実際にはDCバイアス式ではなくECM方式なのは周知のとおりです。筐体やショックマウントは値段の割にはしっかりしていて基板の質も良いです。箱から出して手に取ってみた感じだけなら先日修理したSeide PC-Meとなんら変わりません。まずはそのままミキサーにつないでファンタム電圧をかけて聴いてみました。下馬評通りS/Nが悪いです。これは使えんなあ。高域はそこそこ伸びている感じはする。

改造前提で買ったのでさっそく分解。ダミー基板ありです。2つ買ったのですがカプセルのマウントが黄色と黒で違っています。
BM800 黄色いマウントBM800 黒いマウント
色が違うだけで質は変わらず。PC-Meが樹脂製の硬くて重いマウントだったのに比べ、ペラペラでチープなプラスチックマウントです。

さっそくサーというホワイトノイズの源だという定電流ダイオードを5.6kΩの金属皮膜抵抗に付け替えです。この時使っていたミキサーでは、ファンタム電源は2番/3番に35~36Vかかっていて、交換前はダイオード端で9.2V位だったように思います。交換後は抵抗端で7.2Vに下がりました。ホワイトノイズは劇的に減りました。これはこのマイクを買ったら絶対にやるべき改造です。
BM800 改造前基板
BM800 抵抗に交換
そこからは手順をすっとばしてソースフォロア化改造、カップリングコンデンサの交換、配線の同軸化、カプセルマウントの固有振動対策を一気にやってしまいました。
BM800 ソースフォロア化改造
ソースフォロアに改造をすると出力レベルが落ちます。増幅度が高いドレイン出力と違ってソース出力の場合はインピーダンス変換しかやらないので、元のドレイン出力と比べると10~14dB位は落ちるようです。なお、ソースフォロア化改造の場合は同相出力なので出力コネクタ側配線のHOT/COLD入れ替えは不要ですが、基板とコネクタを結ぶリード線が華奢で作業中にもげてしまったので、ごく普通の耐熱UL線で付け替えました。出荷段階(無改造状態)では基板中央のランドが3番へ繋がっています(写真はリード線交換前)。
BM800 改造前のコネクタ結線
1番はどの改造でも不動のアースで、基板裏面のランドが広いグランド面につながっているので判別できると思います。残りの1本のリード線が2番につながっています。

2本買ったBM-800のもう1本も同じように改造してみましたが、思うところあってこちらは元のソース接地ドレイン出力に戻し、出音を比較してみることにしました。ドレイン出力に戻したほうは逆相対策でHOT/COLDを入れ替えます。
BM800 ドレイン出力に復元
その結果、こっちのほうが太くて元気な音ですね。S/N的にも有利です。知人の音屋さんと試聴してみましたが、まともなマイクアンプにつなげてゲインを上げるとソース出力が素直かつ明瞭な音ですが、ドレイン出力のほうが出力が大きくてそこそこのアンプでも使いやすく、かつ中高域(6kHzあたり)に特徴があって、他に所有しているマイクと出音が差別化できるように感じました。よって、カップリングコンデンサーの交換やマウントの固有振動対策はやりますが、2本ともソースフォロア化はせずにドレイン出力で使う事にします。今後見直すかもしれないので2.2kΩの抵抗は生やしたまま。
BM800 マウント改造リア側
BM800 マウント改造フロント側

個人的な印象としては、改造したところでより高価なマイクに匹敵するほどすごい神マイクに化ける、というほどの感想は持てませんでした。改造すれば普通に使えるマイクにはなりますし、たとえ無改造であっても、この金額でこのような製品が入手できるのは驚くべきことです。しかし音質が良かろうが悪かろうが、他人からお金を取るような仕事の録音にこのマイクは使えません(仁義の問題です)。個人や趣味で使う範囲であれば、この値段で心置きなく分解し改造して音の変化を体験できる、というだけでもとても楽しく、価値のある遊べるマイクだと思いました。マイクって電気的な回路だけでなく物理的な部分でも音が変わるんだな~。

また、オーディオドラマのセリフ録音をしていると同一型番のマイクが複数本欲しくなるのですが、高価なコンデンサーマイクを複数本買うのが難しい人には有効な選択肢になり得るかもしれません。学生さんなど、お金はかけられないけど、その分手間や努力はいとわない、といった方にも良いのでは?テスト用や実験用、効果音収録にも使えると思います。改造前提ではありますが、昔はこの値段でこの音は録れなかったので、良い時代になりましたね。

参考サイト:
■ShinさんのPA工作室
1603 :Amazonの超激安コンデンサマイクが高級機に変身する改造(第1編) http://ameblo.jp/shin-aiai/entry-12115618790.html
1604 :Amazonの超激安コンデンサマイクが高級機に変身する改造(第2編) http://ameblo.jp/shin-aiai/entry-12120744691.html
1605 :Amazonの超激安コンデンサマイクが高級機に変身する改造(第3編) http://ameblo.jp/shin-aiai/entry-12123022225.html
1606 :Amazonの超激安コンデンサマイクが高級機に変身する改造(第4編) http://ameblo.jp/shin-aiai/entry-12125583894.html
■えるなのブログ
激安中華コンデンサーマイク改01? http://ameblo.jp/eruna-captor/entry-12123484380.html
激安中華コンデンサーマイク改02?の改?の改 http://ameblo.jp/eruna-captor/entry-12124277917.html
安いECMでも高性能だというコトがありまして+。 http://ameblo.jp/eruna-captor/entry-12133566555.html
Shinさんえるなさんをはじめ、ネットにこのマイクの改造記事を掲載された皆様に感謝します。

当記事を参考にした改造は自己責任でお願いいたします。

(がんくま)
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Seide PC-Me の修理

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Seide PC-Me は低価格なLDCマイク(Large Diaphrum Condencer microphone)としては国内で最初期に普及したマイクではないかと思います。カラフルな色のバリエーションがあってポップな印象が残っています。私が持っている個体はソフ○ップ秋葉原店の中古楽器コーナーにかなり長いこと売られていたもので、ある日気がつくとジャンク品として78円になっていました。たしか売札に「マイクとしては使えません」などと書かれていたと思います。その不憫さに情が湧き思わず買ってしまい、ギャグでトークバックのスピーカーでも仕込んで使うか、と思っていたのですが、持ち帰って分解してみるとカプセルを支える樹脂製の台座のネジ穴が緩み、中でカプセルが脱落してしまってはいるものの、音はちゃんと出ることが判明。台座をホットボンドで止めてテスト用やフォーリー収録用のマイクとして1年ほど使っていましたが、また壊れてしまいました。

再破損の原因はやはり樹脂製台座のネジ穴の緩みです。ネジ穴が拡がってしまってまったく効かない状態です。
PC-Me 修理前
ネジ穴を復活させるための方法を検索すると、「プラリペア」というものを使うと良い、と書いてあるページがありました。その内容を参考に修復を試みました。
PC-Me プラリペア
最初は離形剤を塗った元のネジを雄型として穴の中にネジ山を作る方法を試みましたが、ネジ穴が小さく短いために失敗。
PC-Me ネジ穴埋め1
そこで素直に穴を埋めてみるだけにしました。プラリペアの粉末の中に硬化液が浸みていかない感じなので、最初に針の先で穴の底に硬化液を塗り、粉を半分まで入れ、硬化液を満たして針でつつき、さらに上から粉を落として溢れている液と混ぜ、パテ状に半練り状態になってから穴を埋めて硬化を待ちます。
PC-Me ネジ穴埋め2
硬化したら盛り上がった部分を削ってキリで下穴を開け、ネジを締めます。
PC-Me ネジ穴埋め3
これはうまくいきましたが、このやり方ならプラリペアではなくて2液系のパテでも良かったような?ちなみに作業中にプラリペアの粉末をひっくり返して大変なことになりました。あの小さなバケツのような容器は取り扱い要注意です。

さて、もともと台座とワイヤごとカプセルがマイク内をゴロゴロと転がっていたせいで、カプセルと基板をつなぐ2本のワイヤが破断しかかっています。できるだけ外したくなかったので今まで放置していたのですが、今回あきらめて付け直すことにしました。ワイヤの先のラグ板は外して再利用します。取り替えるワイヤには本来静電容量的な配慮も必要なのでしょうが、結果が悪かったら考えることにして、手元にあったカナレL-2B2ATの芯線を使ってみました。それでも元の線材より太いです。元のワイヤと同じく単線ではなくしなやかな撚り線です。

振動板のセンターターミナルのネジを外すとラグ板が付いていた金色のワッシャーも外れました。この振動板中心の配線を止めているネジとダイヤフラムの外側の配線を止めているネジは太さ長さが微妙に違います。

ワイヤの長さを合わせて作り直します。ラグ板側は半田付けした後にリューターで削って形を整えています。左側が元のワイヤで右側が作り直したワイヤです。
PC-Me ワイヤ比較
組み立てます。幸い、配線を元通りにつなぐと無事に音が出ました。
PC-Me フロント側基板
PC-Me リア側基板
が、台座を取り付けるときに前後を間違えていました。マイクの指向性のフロント側が修理前と逆側になっています。これを修正しようとすると、しばらくは外したくない台座をまた外さないといけないので、もうフロント側とリア側を製品本来の向きと逆にして使うことにしました。テプラでフロント側のマークを作って貼って、これで実用上の問題はありません。
PC-Me フロント面にマーク貼付
ジャンク品として買ったときはマイクとして使うのを諦めていたのですが、壊れても惜しくないマイクというのは持っていると自作や修理、効果音製作をしているととても重宝します。マイクの構造を知るためにも良いし、改造も気楽にできます。修理できる限りは使い続けたいと思います。なお、壊れても惜しくないとは書きましたが、中身はDCバイアス式のちゃんとしたコンデンサーマイクです。高級品ではありませんがコンデンサーマイク入門用としては悪くない品だと思います。

参考サイト:RK-47 Capsule Installation Instructions http://microphone-parts.com/pages/rk47-capsule-installation-instructions

当記事を参考にした修理は自己責任でお願いいたします。

(がんくま)
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