TOA F-600SR レストア(5)

テーマ:

◆パンチメタルカバーの補修
F-600SRは出荷当時グレー塗装だったはずですが、私が入手した時にはツヤ消しブラックで塗られており、その上から剥げたところや錆びたところをツヤ有りブラックで乱暴に塗られていて、ちょっとみすぼらしい感じです。まずサビと古い塗膜を400番のペーパーで削り落とします。

 

削ったら一瞬出荷当時のロゴが出現。

F-600SR 当時のロゴ

ツヤ消しブラックのスプレーで再塗装しました。

F-600SR カバー再塗装

キレイになりました。正面から見ている限り、元のオンボロスピーカーにはもう見えません。

F-600SR 再塗装完了

欠品しているカバーの止めボルトをどうするか。上の写真ではとりあえず手元にあったM6の六角ボルトとゴムシートでそれっぽく仕立ててみましたが、イマイチ印象が薄いです。

 

この部品の入手が可能かどうか、TOA社に問い合わせましたが、F-600SRの部品は2005年に提供終了しているので無い、とのことでした。後継機種のF-601SRも同じ部品なので期待したのですが、ちょっとつれない返事で残念です。無いものは無いと割り切って代替策を考えます。

 

F600SR 化粧ねじ比較

代わりに手配したのは EPS-K M6-20-12 という化粧ビスです。

http://kitweb.co.jp/products/ornament/eps/eps-k.html

サイズや見た目はわりかし近いです。クロームのままでは光るので艶消し黒で塗りました。

F600SR ねじ塗装後

 

◆入出力端子をフォンにする。
ノイトリック製のXLRジャックが付いているので、片方を取り外し、トモカで売っているノイトリック仕様のコネクタプレートを買ってきてフォンジャックを付け、半田付け。F-600SRでは全てのコネクタが中で並列接続されているのでどこに付けても音は鳴ります。

F-600SR コネクタ交換前

F-600SR コネクタ交換中

F-600SR コネクタ交換後

しかし、ネジは締まりましたが斜めです。旧タイプの縦長ITT-Canonと同じサイズのようです。美しく作ろうと思ったらプレート自作するしかないなぁ。

 

◆スタンドアダプターを付ける

F-600SRの横にはスタンドアダプターを付けるM8の穴があるので、CLASSIC PROのSM10を取り寄せてM8*25mmの蝶ボルトと平ワッシャーで固定します。

 

スタンドで立てると横に寝かせた状態になります。見た目だけならBOSE 301っぽく見えなくもない。あり得ないデカさだけど。

F600SR スタンド装着(グリル付)

前述のようにツイーターとバスレフポートの位置を入れ替えているので天地を逆にすれば左右対称に設置できます。

F600SR スタンド装着(グリル無)

F600SR スタンド装着裏面

縦置きでスタンドに設置するEV SX300と比べると横幅をとりますのでステージが狭い場所だと少々目立ちます。重量もやや重く、設置運搬はSX300のほうがやりやすい感じです。サイズ自体はF-600SRのほうがSX300よりも小さく、特に奥行が短くて薄いので、天井から吊るしたり奥行きが狭い場所で使ったりするのには向いていると思います。

 

◆鳴らしてみる
個人的な印象としてはSX300と比べると音が丸いです。高域が透き通るような突き抜け方をせず、低域も無理をして伸ばしている感が無く、全体に地味目な印象。ヤマハやEVのPA用スピーカーと比較すると、飛びがイマイチな印象になるかもしれません(一般家庭における小音量試聴なのでパワー入れたらまた印象が変わるかも)。もともと公共施設などの設備用スピーカーに定評があるメーカーなので、パキッとした抜けの良いサウンドでは無いようです。人声については安定していて聞きやすく、ボーカル中心の音楽は芯があって良い感じに再生するように思います。

 

ネットワーク基板上にある"HF -2dB"のジャンパを"HF 0dB"に差し替えてみました。

F-600SR ネットワーク基板のジャンパ

すると最初の地味な音から、シャッキリとした今風の音?に変化しました。それでも高域の上限が伸びるわけではありませんが、解像度は多少改善されます。PA的にはこっちのほうが普通な気がします。背面に高域調整用のボリュームがあるので、このジャンパは0dBにしておいてボリュームで調整するほうが実用的なのでは?

 

なお最初に書いたように、ネットワークのコンデンサーを交換する前後の比較では、ガサガサした痩せ気味の音から、音楽的で肉厚な音に変化したので、製造からかなりの年月が経過しているこのスピーカーの中古品を入手したら、コンデンサーの交換をお奨めします。

 

当記事を参考に作業をされる場合は、自己責任でお願いいたします。

 

(がんくま)

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TOA F-600SR レストア(4)

テーマ:

◆サランネットの張り替え

ツイーターとバスレフポートを覆うフロントグリルのサランネット、元々グレー系の色だったはずなのに赤茶けた色になっており、触るとボロボロと粉が落ちます。切って剥がすと、フレームは硬質樹脂製で前面側には両面テープが張ってありました。

F-600SR 古いネットを剥がす

サランネットの端は溶接したかのように綺麗に圧着されています。木材ならタッカーで固定できますがプラスチックなので、接着剤で止める位しか考えつきません。

F-600SR グリル修理前

布の寸法は織り込み分も含めて39x26cm程度です。コイズミ無線で売っている規格品のジャージー布45cmx60cmを購入して2枚作ります。色は黒や、もっと明るいシルバーやライトグレーも考えましたが、フレームの色が濃いのでやはり本来のグレー系に落ち着きました。

 

ジャージー B3112-45(ストレートグレー) 
http://dp00000116.shop-pro.jp/?pid=103357702

 

フレームに新しい両面テープを貼ります。内側の穴に近い側に貼ったほうが後々のたるみ防止に良いようです。

F-600SR グリル両面テープ

霧吹きで少しだけ湿らせたジャージー布(表裏に注意)を机の上に敷き、まず長辺の片側を付ける。残りの両面テープをはがし、布を少し引っ張りながら貼る。引っ張りながら貼らないと後で触っただけでたるみます。

 

続いて4隅の角を先に接着します。接着剤として「セメダインスーパーX」を使用しましたが、結構時間がかかるので瞬間接着剤のほうがサクサクと固定出来て良いのかもしれない。

F-600SR グリル角処理

先に4隅を貼ってから長辺側・短辺側に引っ張って貼ることで、上手い具合に角部分の布の折り畳みを無くすことができます。

F-600SR グリル角部分処理

長辺側・短辺側も接着して、乾いたらカッターで余長を切ります。

F-600SR グリル接着中

F-600SR グリル修復前後比較

欠損しているダボ部分は、家具用の直径6mmの木製ダボを切って中心に穴を開け、爪楊枝を芯材にして接着剤で固定しました。

F-600SR ダボ再生部分

使用したジャージー布は、店頭では暗い色に見えましたが装着してみると意外と明るい。

F-600SR 修復後のグリルを装着


つづく
(がんくま)

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TOA F-600SR レストア(3)

テーマ:

◆バスレフポートのスポンジ復元

フロントグリルを外した際の外見上の特徴でもある三角形のバスレフ穴には、もともとスポンジが付いていたようです。このスポンジは加水分解でボロボロになってしまって跡形も無く消え、ウーハーを外すと内部に粉状になって落下していました。

F-600SR 内部に残るスポンジの残骸

欠片から推測するに、かなり目の荒いスポンジだったようです。スポンジが無くても機能に問題は無いのですが、吸音材が外から丸見えなので修復します。

F-600SR バスレフ穴修復比較

スポンジは身の回りの様々な製品となって存在していますが、スポンジ自体を単品で売っているのはあまり見ません。ホームセンターの台所用品コーナーにあるのはサイズが小さく目も細かく、色も黄色やピンク、緑など落ち着きません。換気扇のフィルターは薄いし白いしで駄目です。2cm前後の厚みがあって、目が粗く、黒い色で15cm角以上の面積があるスポンジ、どこかで見たことあるんだがな~~~そうだ車用のエアフィルターだ、と近所の二輪車用品店へ行くと、バイク用のエアフィルターのうち、乾式の汎用品に良さそうなのがありました。しかしオフロードバイク用品の中にもっと良さそうなのがありました。

 

DRC スキッドプレートフォーム 品番:D58-17-012 サイズ:30cm×15cm×4cm
http://www.drcproducts.com/body/d58-17/index.html

 

店頭では何に使うものかわかりませんでしたが、後から調べると、"スキッドプレートとエンジンの隙間に使用し、泥つまりや飛び石による致命的なダメージを未然に防ぐ"ものだそうです。ううーん、専門外なので高熱に耐える位しかわからんな。

F-600SR 加工前のスポンジ

現物合わせでサイズを調整してカッターナイフで切り出します。スポンジなので少し大きくても押し込めます。これをさらにスライスして半分にし、厚さ2cmのものを2枚作成。

F-600SR スポンジカット

接着剤にはゴム系のG17を使いました。厚さも見た目も丁度良い感じです。

F-600SR バスレフ穴裏面

目の粗さはこんな感じで向こうが透けて見えます。

F-600SR スポンジ透かし具合

 

つづく
(がんくま)

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