ヴァージナル / 南野陽子 | A DAY IN THE LIFE WITH MUSIC

ヴァージナル / 南野陽子


A DAY IN THE LIFE WITH MUSIC-ヴァージナル


①ガールフレンド

②砂に埋めたSECRET

③ニュー・イヤー・イヴ

④ベルベット・シークレット

⑤呼びすてにしないで

⑥黄昏の図書館

⑦接近(アプローチ)

⑧私の中のヴァージニア

⑨ムーン・ランデヴー

⑩海のステーション

⑪曲がり角蜃気楼

⑫せいいっぱいの思い出



本日紹介するのは1986年の南野陽子のアルバム「ヴァージナル」です。


「アイドル歌手」という定義付けは人によっていろいろだと思いますが、

可愛くて擬似恋愛の対象となり得るようなイメージがあり、でもちょっと手の届かない存在

ってのがオレの中でのアイドル歌手で、そういう意味においてはナンノは理想に近いアイドル歌手でした。

あ、ナンノってのは当時の南野陽子の呼び名です(笑)


1986年おニャン子クラブが爆発的に売れていた年で、以降普通っぽさを売りにしたアイドル歌手が増えていき80年代後半からはいわゆる「アイドル冬の時代」を迎えることを考えると、南野陽子最後の正統派アイドルと言えるかも知れません。

いや、正確には同じ1985年デビュー中山美穂南野陽子浅香唯工藤静香ら4人は

「アイドル四天王」

と呼ばれていましたから(笑)、時代的に見たアイドルのピークというのはやはりこのあたりになると言えるのではないでしょうか。


同じ1985年デビュー斉藤由貴南野陽子は当時はよく比較されていたように思います。

二人ともグラビアやCMで注目されて歌手デビューを経てドラマ「スケバン刑事」でブレイクという成功パターンが似ているということと、斉藤由貴横浜南野陽子神戸(正確には伊丹ですが)という港町ということもあり、

東の由貴 西の陽子

などと言われていたような気がします。



ただ、歌手デビューからほどなくして作詞などを手がけて独特の少女趣味的な世界観を作り上げたアーティスティック斉藤由貴と違い、南野陽子は王道のアイドル路線まっしぐらで、しかも歌がお世辞にも上手いとは言えず、可愛いルックスと神戸の清楚なお嬢さまというイメージに沿った曲で勝負するというまさに正統派&清純派アイドルの鏡だったワケです。


そんな彼女のイメージと楽曲の素晴らしさが見事に合致したアルバム、それが「ヴァージナル」です。

これはもう奇跡に近い「アイドル歌謡の名盤」ですよ。


とにかく楽曲が粒揃いでヴァラエティに富んでおり、神戸のお嬢さまというイメージを崩すことなく且つアルバムつぃても見事にまとまっています。

秋~冬にかけての季節に聴けば尚一層味わいが感じられます。


ア・カペラ風のフォーキーな「ガールフレンド」に始まり、

ボサノヴァ・タッチでフランソワーズ・アルディの「さよならを教えて」を引用した「ニュー・イヤー・イヴ」

ドラマティックでエキゾチックな「呼びすてにしないで」

マリンバのイントロが印象的なシングル曲「接近(アプローチ)」

ヨーロピアンな雰囲気の切ないワルツ「海のステーション」

など、アイドル歌謡としては考えられないくらいのクオリティの高い作品が並んでます。



このアルバムにテーマがあるとすれば「時の移り変わり」になるのかな。

時間の経過についての詩があちこちで登場します。

アルバム・タイトルの「ヴァージナル VIRGINAL」という言葉は「清純な」とか「純潔な」などと言った意味がありますが、それはクサい台詞で言い換えるならば

「かけがえのない青春の1ページ」

てな感じになるのでしょうかね。


アルバムのハイライトは何と言っても「曲がり角蜃気楼」でしょう。

恋人との別れをモチーフに、そこから人間の成長や生きるために背負っていかなければいけないさまざまなものを歌っている(と思われる)切なくも優しい名曲です。


曲がり角 蜃気楼

かすんでゆく私が

花になっても 雪になっても

思い出してね・・・




時の流れを経て、このアルバムはより味わいのある作品に聴こえます。





「曲がり角蜃気楼」 → http://www.youtube.com/watch?v=xpbUWl7-Dfg




A DAY IN THE LIFE WITH MUSIC-ヴァージナル backsleeve



A DAY IN THE LIFE WITH MUSIC-ヴァージナル CD