プントが20個 | ベトくら~ベトナムに暮らせば~

プントが20個

見て見て見て~!


プント・プント・プント!!!
プントが20個できたよ~クラッカー
こちらのビーズ細工の店でオーダーして
プントの小銭入れを作っちゃったのだ。


顔の下にチャックもつけてもらっちゃった合格

裏はブッチャー縞と名前入り。

しかし、ここまで至るには大変だったのだ。
今日は20個のプントができるまでの話。


とかげ足あととかげ足あととかげ足あととかげ足あととかげ足あととかげ足あととかげ足あととかげ


事の起こりは5月半ば、お友達のうちでみかけた
かわいいビーズ細工。
アンパンマンの顔のコースターだった。
聞けば、彼女のお友達がオーダーして
作ってもらったのを分けてもらったそう。
へー、こんなことできるんだ。
その瞬間パッとひらめいた。

そうだ、プントのお財布作ろう。
母にお土産にしたら喜ぶかも。

お友達にさらに詳しく聞くと
費用はそれほどでもないが、日数がかかるとのことだった。
それでは、と その晩PCに向かいシコシコと
写真をベースにデザイン画もどきを作ってみた。

CGはいつかはやってみたいと、
日本からソフトを持ってきていた。
マニュアル本を片手に3時間くらい悪戦苦闘。
ま、線はヨレヨレだけどプントらしさが出てるから
これでいいや。
あとは何とかなるでしょう。

翌日ビーズ屋にこの絵を持って行き
お店の女ボスといった風情のおばちゃんに
「オーダーしたいんだけど・・・」と言ってみた。
デザイン画を手に取った彼女が聞く
「・・・いくつ作りたいの?」
「2つ。あ、3つにします!」
「フン!」
・・・鼻で笑われた。
「あのねえ、最低20個からじゃないと受けつけないよ、
2~3個のためにビーズ用の型紙なんか起こせないよ!
1個○○ドンで20個で●●●ドンこれが最低ライン。
個数が少なくてもこの金額はもらうから1個あたりが高くなるよ。」

そりゃあそうだよねー。
でも、さすがに20個もいらないのだ。
ちなみに、1個あたりちょっとお高めのローカル店の
激ウマの麺料理1杯と同じくらいの値段だった。
日本の物価で考えるとラーメン1杯分くらいと思って。
1個あたりはまあいいんだけど、総額を考えると
やっぱりそこまでする価値はないかな、
という気になりすごすごと尻尾を巻いて退散した。

その晩オットに話すと、
「え、あきらめて帰ってきたの?いいじゃん、作っちゃえよー。
それくらい払えるだろう。いい記念になるじゃん。」
「えー、20個もいらないよ。」
「何言ってんだよ、いくらでもあげる人いるだろう。
お前大体日本を出る時に猫友さんたちから
お餞別沢山もらったっていってたじゃないか。
みんなにお返しであげたらいいんじゃないの?」

・・・そうだった。
日本を出る時にいただいたご恩を今度の帰国で
お返ししたいと思っていたのだった。
かくしてオットの大プッシュを受けて
再度店に足を運んだ。

すると、今度はいつものおばちゃんが店にいなかった。
彼女のお母さんらしい人は英語がわからず、
お店の奥で作業をしていた工員の若い女の子が
「絵を置いて行って、そうしたら明日ボスが見て電話します。」
と言うので余白に「20個オーダーしたいので2日後にまた来ます。
その時にデザイン、仕様などを相談したい」とメッセージと連絡先を書いた。

翌日はたしてその女ボスから電話がかかってきた。
「あなたの絵を見ました。でも、2日後に来られても20個できません。
今、工場はものすごく忙しいんです。」
「違います、2日後に行くのは打ち合わせのためです。
デザインと仕様を確認した後、正式にオーダーします。」
「・・・わかった。」
このおばちゃんいつもケンカ腰なのだが、電話ではやたら冷静。
それがかえってこわかった。

約束の日に店に行くと私の顔を見るなり、
「この絵は裏表がぴったり合わない。こんなものから製品は作れない。
それにこんなに模様が入っていたら何が何だかわからないものになる。
あなたはビーズが分かっていない!」と、最初からすごい勢いでまくしたてる。

さすがの私もいい加減に頭に来て、
「あなた、この仕事やりたくないの?」と聞いた。
「やりたくない。」
「なんで?ここはオーダーもやってくれるお店でしょう?」
彼女の説明によると、これから収穫期で工場が1か月半閉まるというのだ。
だから、その前に注文を受けた品を全部作りきらなければならず
私のような小口の注文なんてやってられないと言うのだ。
なるほど。彼女は農閑期の農家の人を工員として雇っていたのだ。
「今年は収穫期が遅れているから、その分長く工場を閉めなくちゃならないのよ」
彼女の言うのはとにかくできない理由ばかり。

じゃあもういい!と怒って帰るのは簡単だったが、
でも、私も自分の書いた絵からどんなものができるのか見てみたかったのだ。
ぐっとこらえて、再度彼女に聞く。
「裏表が合えば作ってくれるの?模様をもう少しシンプルにすればいいの?
これは日本にいる母へのお土産なのよ。」
この一言が効いたのか、おばちゃんしばし考えた。
「・・・じゃあ、左右対称にして、裏表も重ねたらぴったり合うように
この紙に書きなおして。」と私にトレーシングペーパーをくれた。
「後ろの文字ももうちょっと大きくして。
それを明日までに持ってくればあなたが日本に行くまでに仕上げてあげる。」
おばちゃん、あくまでも強気。

こうなれば私も意地だ。
その日はお友達のお家に行く予定があったのだが、
事情を説明して鉛筆を借り、
そちらのお宅でせっせとトレーシングペーパーに
自分の画を写させていただいた。
ウサギさん、ありがとう。その節はすみませんでしたー。)
その日、お友達の家からの帰りにこのデザイン画を届け、
ビーズの色も決めた。
1週間程度でサンプルができるので、
そうしたら電話をするとおばちゃんは言った。

きっちり1週間後、おばちゃんは電話をよこした。
さっそくサンプルを見に行くと私のデザイン画はこうなっていた。

あんまり期待していなかったんだけど、思ったより全然いい。
ちゃんとプントの顔してる!
いくつか気に入らない点があったのだが、
もうこれ以上顔の部分はいじれないといわれたので
裏のブッチャー縞だけは色を黒くしてねと頼んで、これでOKを出す。

裏を見ると、こんなに針の刺しあとが。
ものすごい手の込んだことをやってくれてるんだね。
そう考えたらやっぱり安い。

それから、12日後。
私は20個のプントを受け取った。
お店に行ったら、いつものおばちゃんはいなかった。
ビニールにどちゃっと入ったお財布は1個1個ちょっとづつ
違ったけど、ちゃんと全部プントの顔をしていた。
お財布を手に取ってひとつひとつファスナーの確認をした。
お店番のお母さんが手伝ってくれた。
言葉は通じなかったがお母さんは私が喜んでいたのを分かったと思う。

おばちゃんにも電話をした。
「ありがとう、あなたは本当によくやってくれた。とても満足したわ。」
「そうでしょう。」
「収穫期が終わったらまた注文に来るわ」
「OK」

なんだか私はちょっと感激してしまったのだ。
自分が適当に描いた絵からこんなに
ちゃんとしたものができるなんて思ってもみなかった。
なんども頭に来てやめようかと思ったけど、
あきらめずにやってよかった。
短気をおこさなくてよかった。

今にして思えば、あのおばちゃんがあれだけできない理由を並べたのも
安請け合いして質の良くないへんてこなものを
納めたくなかったのかもしれない。
納期を守れないのがいやだったのかもでしれない。
実際、適当なデザイン画のままだったら勝手にアレンジをされて、
完成品は自分が思っていたものとは程遠いものになったに違いない。
ベトナムの手工芸ってすごいんだ。

でもね、私には一抹の不安が。
ここはコピー何でもOKの国。
しばらくしたら、プント財布もどきが店で売られるんじゃないかなー。
うーん・・・
やっぱりそれは悔しいな。
安さに免じてあきらめるべきなんだろうか。



20個のプントの記念写真。
中に、ちょっとデザインの違う子がまぎれているのがわかるかな?


そして、今激しく後悔していること。
20個じゃなくて、30個にすればよかった~~~!!!
お世話になった人を思い浮かべるととても20個じゃ足りなかった・・・。


とかげ足あととかげ足あととかげ足あととかげ足あととかげ足あととかげ足あととかげ足あととかげ


ちなみにデザイン画の元となったのはこの写真。


僕がモデルになったった♪


よかったら、こちらものぞいてみてください。
只今、蓮の写真を掲載中です。