凶斗偽呈書2009第三幕その1 正純は南極でマグロを捕まえる | 腐ってやがる・・・ぷログ

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今回の羊


『地球環境を壊さないで食糧問題を解決する』日本食糧新聞社、2008年、新村正純


アフェリエイトを貼ろうと思ったら画像がなかった・・・。


まあ、環境を壊さないで解決なんて虫のいい話があるんでしょうかね。
と思ったら、ペットボトルリサイクルの件で武田邦彦大先生の書籍から引用していました。
反論も併記していましたが、議論の余地があるって、間違いは間違いって認めようよ。


この、新村氏によると、増えた鯨を捕れば、環境を壊さずに食糧問題が解決するそうですが、ほんとうでしょうか。

とりあえず、本題に入る前に、そのP90で
「文明の衰亡とともに不要になった農耕地や牧地は、植林せずにそのまま放置されたため、土地が劣化し、砂漠や荒地になって、いまや見る影もない姿となってしまいました。これが古代都市文明の末路なのです。」

新村氏曰く、ここは『森と文明の物語-環境考古学は語る』からの引用だ・・というのですが、新村氏のこの記述引っかかる点があります。
私も件の本をもっているので見てみると
日本は知っての通り、現在まで砂漠や荒地にならずに森林が残ってるんですが、日本も稲作が伝播した際に、森林が破壊されたそうです。


『森と文明の物語-環境考古学は語る』筑摩書房、1995年、安田喜憲
P183に日本における復興の原因が記述されていて…、
「二次林が生育できたのは、森の再生を不可能にする家畜が欠如したこと、もうひとつは森の再生に適した温暖で湿潤な気候条件のためである。」
アフリカなどの古代都市文明の衰亡はその気候による要素も多大にあったと思うので植林と言う人為に原因を集約していいんでしょうかつか古代都市文明の時代に「植林」ってあったっけ?。


さて、御待ちかねの本題です。


P150の『1 水産資源の活用』の『① クジラを食べる』からまあクジラを食べると環境を保護できるという昨年流行った論説です。
P151
「ミンククジラ、ニタリクジラ、マッコウクジラなどの資源状態はきわめて良好であります。ナガスクジラやザトウクジラも増えています。むしろこれらのクジラが増えすぎて、海洋の生態系を破壊していることがわかってきました。」
きわめて良好なのはいいんですが、武田先生のところで書いた様にクロミンククジラ以外は環境収容力がふえる要因が観測されておりません、保護されているだけで増えすぎたりはしません。


増えてきたというザトウクジラは日本の調査では現在南極海に3万6千頭生息しているそうです。『ここまでわかったクジラとイルカ 実験と観測が明らかにした真の姿』講談社のP158によれば、3千頭だったそうで、およそ10倍に増えたようです。

10倍って凄いですね。
でも同書籍の開発初期の数字、つまり大元は10万頭生息していたそうなので、実は三分の一しか回復していません。ナガスクジラも全体の半分の水域で1万5千頭に増えたそうですが、元々の生息数が40万頭なので、この程度の増加は焼け石に水です。


更に新村氏はP152で世界中のクジラの捕食量は年間二億五千万トンから五億トンで、世界の年間漁獲高のおよそ九千万トンと単純比較しているんですが、
「これに対して、反捕鯨国のオーストラリアは「南氷洋のクジラは魚を食べているのではなくて、オキアミを食べているのだと主張していますが、「オキアミしか食べていない」という科学的データは提出していません。もし、オキアミだけをたくさん食べているとしても、マグロやカツオなどの回遊魚もオキアミを捕食していますから、これらの魚からオキアミを横取りしていることになり、結局人間の漁獲と競合していることになるのです。」


まず、マグロやカツオはオキアミがいる南氷洋(南極海、南大洋)に居ないんですが…。



『南極の自然誌』どうぶつ社、1995年、サンフォード・A・モス
P101
「南大洋にすむ魚類のおよそ七五パーセントの属、九〇パーセントの種が固有のものである。つまりかれらは、南大洋以外どこにも分布していないのだ。」
低音下でも氷結しない、カジカに似たノトセニア魚類が全体の75パーセントだそうで、基本的に魚類が少ないそうです
つか、そんなところにマグロがいたら、天然冷凍マグロになってしまいます。

実はロス海の南西部でミンククジラが極めて稀にノトセニア魚類を食べているという話はあるので、確かに「オキアミしか食べていない」というデータは提示できないでしょう。
ただし、日本の調査捕鯨で、ほぼオキアミしか食べていない事を突き止めてもいます。


大体私が引用している『ここまでわかったクジラとイルカ 実験と観測が明らかにした真の姿』当時の調査捕鯨などによる鯨研の知見が記述されてる本だし。


ミンククジラを含むヒゲクジラの餌は動物性プランクトンや小さな魚類ですが、ナンキョクオキアミは滅茶苦茶多いのです。
『南極の自然誌』P98
「またその年間生産量は、七億五〇〇〇万トン~一三億五〇〇〇万トンと推定されている。」
クジラの捕食する餌の量は五億トンでしたっけ。オキアミの年間生産量というのは、増える量なので、遥かにそれを上回る量を増加しているわけです。


クジラとしても少ない魚を捕るより、目の前のオキアミを食べる方が合理的というか、楽な訳です。

ただし、「南極で大丈夫だからといって、他の海域で鯨と魚の競合が起こっていない訳ではない」という向きもあるようですが、これは食害論の引き合いに出されるのがクロミンククジラなど増加事例が全て南極の事例だから、その生態系を支える南極のオキアミは大丈夫だという反論になっているので、自ら偏った根拠で語っておいて、それに合わせて反論されたら、今度は偏っていると指摘しているという…、まあ水掛け論ですね。



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なんと今回アフェリエイト全く貼れない、というか扱ってない本ばかりらしい。