第264回 Win - Win -Win | [粒子線治療][陽子線治療][菱川良夫] 名誉センター長のこばなし ~がんから学ぶこと~

[粒子線治療][陽子線治療][菱川良夫] 名誉センター長のこばなし ~がんから学ぶこと~

一般社団法人 メディポリス医学研究所
メディポリス国際陽子線治療センター 名誉センター長
菱川良夫による講演からの小話。

「画像診断でがんが疑われるので、手術をしましょう。
我々の手術を受けないで他の治療を受けるのであれば、その後は見ません」

先日、主治医からこのように説明されたという患者さんのテレビ相談を受けました。

過去にもこのような相談を受けたことがあり、ここでご紹介しました。

第104回 医の倫理
http://ameblo.jp/ptrc/entry-11577630916.html

第146回 医師の務め
http://ameblo.jp/ptrc/entry-11845226145.html



テレビ相談を受ける際に私が心がけていることは、まず患者さんとご家族が『主治医からどのような説明を受けてきたか』を、よくよく聞き取ることです。

次に、『最も何を望んでいるか』を聞きます。

今回の場合は、『どうしても手術を受けたくない』という強い意志を口にされましたので、放射線治療や陽子線治療についてお話ししました。


以前の こばなし では、「このようなことはあってはならない」と書きましたが、
最近では、「診てくれないのであれば、診てもらえる病院に紹介すれば良い」と考えるようになりました。


がん治療を専門としている医師ならば、陽子線治療を受けた後の患者さんを診ることは、間違いなく可能です。

また陽子線治療特有の変化は、センターの担当医と引継いで診ていただける先生との連携で理解が出来るシステムを構築しています。
もちろん先生方へのサポート体制も整っており、様々な方法で対応が可能です。


我々が自信を持って行った陽子線治療。
それらを受けた患者さんの予後は良く、その後の病院にも長期間通院されることが予想されます。

検査や化学療法等、診てくださる病院の経営にも良い影響を及ぼすことが予想されます。

患者さん、主治医及び病院、当センターと、まさにWin - Win -Winの関係が構築されていると考えています。


患者さんの願いに優しく対応できる先生。
他の治療を受けたとしても、治療後には再び診ることができる責任感がある先生。
それが自分自身の勉強にもなると前向きに、勤勉に捉えられる先生。

これからがんの患者さんがますます増えることが予想される日本で、
このような考えをもつ先生が一人でも多く増えることを願っています。