ある刺青師の「オン」 - コミュニケーション編 | 刺青|賽のじ雑記

ある刺青師の「オン」 - コミュニケーション編

刺青|賽のじ雑記-加藤清正刺青下絵

昨日の記事のつづきです

あれから「オン」について
ぽや~っと考えておりました

結果、僕の「オン」は二つありました
一つはお客さんとのコミュニケーションです

基本的な仕事の流れとして
お客さんから電話で最初の連絡をいただき
打ち合わせの予約を入れてもらいます

そして予約した打ち合わせの日時に
彫り場まで来てもらい
直接お会いして希望する内容
希望する部位、大きさ、予算
などなどを伺います

お互いに必要とする資料を確認しあったり
身体の使い方を確認したり
ラフを描いてみたり
お互いに顔を合わせての
コミュニケーションから
出来るだけ多くの事を感じ取ろうとします

そして僕の方からもアドバイスや提案なんかをします
この時お客さんも緊張している事が多く
上手なコミュニケーションを要求される場面です

また刺青は隠れてこっそり制作して
出来上がった完成品を納品
という訳にはいきません

刺青の仕事は一回数時間
それを何回も、何十回も
文字通り肌を触れる距離での
長期間のお付き合いが避けられません
お付き合いが何年間にもわたる事も
少なくないんです

当然にここでも「刺青を彫る」という
技術的な仕事だけではなく
コミュニケーションが必要となります

これらコミュニケーションが必要となる時間が
僕の「スイッチ・オン」タイムです

僕は残念ながら所謂「サービス業」に
従事することに向いているような
コミュニケーション能力を
持ち合わせておりませんでした

自分で言うのもなんですが
この稼業をはじめてから
技術の向上とならんで
常に試行錯誤を続けてきましたテーマが
この「コミュニケーション」です

意外に思われる方もいるかも知れないんですが
密室に一対一で数時間
肌を触れ合わせる
 ( っていう表現だと変な事イメージしますかね?
 ( でも実際に触れてるんですよ
 ( 押さえつけて針を刺してるんですけどね・・・・・
お互いに物ぢゃあないんで
日々仕事をしている僕にとっては
非常に重大な部分なんですよ

どうやったら気持ちよく
刺青を彫ることが出来るか
僕ばっかり気持ちよくても意味ないし
如何にお客さんに気持ちよく(痛いのは痛いですけどね)
刺青を仕上げてもらえるか

答えなんてないんですから
永遠のテーマです

おっととと
長くなったので
もう一つの「オン」は、また次回に


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