(前回の関連記事は「神秘行を続けていても何も起きない理由
」です)
悟りでドツボにはまる?
前回の記事では
今までいろいろな人の波動を読みながら観察していて分かったのは、
世の中には心理的に物事に動じない人と、すぐ揺れ動く人がいます。
わたしはこの精神力の強さを「マインド」「器」と呼ぶようになりました。
この精神力の強さ(=「マインド」)は、波動にも反映されていて、
その人の波動を読むと強弱が一発で分かります。
という説明をしました。
わたしがいろいろな人の波動を読んできた経験から言うと、
人間の意識は大まかに、
①生まれつき備わっている本質的な部分
と、
②成長する過程で身につけた社会適応のための人格
の2種類に分けられます。
この①生まれつき備わっている本質的な部分についてクンダリ二ーヨーガでは
「真我」、ロシアの神秘思想家G・I・グルジェフは「本質」、心理学者C・G・ユングは
「第2の人格」などと呼んでいます。
(以降では①について「本質」と呼ぶことにします。)
この「本質」については、禅、仙道、スーフィーなど世界中の神秘行において
語られているのですが共通している性質は、
「現実世界の状況に左右されない」
という事です。
これは当たり前のことで、生まれた時から備わっている部分なわけですから、
現実世界とは関係ありません。
普通一般人が最も本質を体験するのは、夢を見ていないような深い睡眠状態の
時になります。
眠って意識が無い状態で、
「来月のローンの支払いをどうしよう。」
とか
「どうやったら彼女をデートに誘えるんだろう。」
などと悩む人はいません。
本質にとってそんなことはどうでもいいわけです。
人間の意識を海に例えれば、本質は
深海の海底
のようなものです。
ユングの分類に従えば「集合的無意識領域」という
人類共通の最も深い意識レベルとなります。
これに対して日常意識は
海水浴場
のようなもので、
「今日は何を食べた」とか「昨日、何のドラマを観た」という日常の皮相な
情報しか得られません。
しかし、「深海の海底」に例えられる本質には、「未知の深海生物」や
「豊富な海底資源」に例えられるような膨大な情報が存在しています。
このように、普通一般人が現実世界の表層的な部分の情報しか得られない
のに対して、神秘行を実践して本質に繋がった人間は超感覚が開きます。
ですから、何かの神秘行を深く究めた人間がいて、周囲の人たちが
その人物を観察したなら、
ⅰ)周囲の現実的な状況(金銭や異性など現実的な損得)に左右されない行動をする。
ⅱ)普通一般人が知ることが出来ない情報を取得できる。
という特徴を見い出すことになります。
例えば、
他の人が怒り狂うような状況になっても感情を動かさず平然としている。
ある人間を見ただけでその人物の精神・肉体の状況を把握する。
などです。
すると周囲の人間は、
(あぁ、この人は何を言われても怒らない。)
(お金にも女性にも執着しない。)
↓
(この人は高潔な人格者なんだ。)
(しかも不思議な能力を持っている。)
(これが悟りを開いた状態なんだな。)
と考えます。
さらに続いて以下のような思考パターンを辿ります。
(うーん、どうやったら悟りを開いて不思議な能力を
身につけられるんだろうか?)
(そういえば、あの人は何を言われても怒らないし、
お金にも女性にも執着しない。)
↓
(そうか、わかったぞ!!)
(何を言われても怒らないようにして、お金や女性への執着を
無くせば、不思議な能力が手に入って、悟りが開けるぞ!!)
という風に考えるわけです。
わたし自身の経験でも、本質にがっちり繋がっている時は
現実への興味が無くなったりします。
しかし、それは別に人格者になったわけではなくて、
ただ単に現実に興味が無くなった
だけです。
また、社会生活を営むためには
②成長する過程で身につけた社会適応のための人格
も必要ですから、そちらに意識のシフトを変えると
感情や欲望も戻ってきます。
というより、わたしは現実的な性格なので意図的に意識の状態を
オン・オフで切り替えていますし、ユングやグルジェフなどもそこは
状況によって使い分けていました。
ただ、世の中には本当にヒマラヤの洞窟にでもこもって、本質のみの
状態で瞑想三昧で暮らしている人もいると思います。
(わたしはそんな生活は絶対嫌ですが。)
まとめますと、
①うまく神秘行を行う(テクニカルな面で)
↓
②本質の部分とうまく繋がれるようになる
↓
③現実の状況に左右されなくなる・超感覚が目覚める。
↓
④周りの人には「高潔な人格者で不思議な力を持った
悟りを開いた人」に見える。
となります。
しかし、上記のような神秘行の仕組みが分からない人は、
①何があっても怒らないようにして、性欲厳禁、欲望は
全て抑えることで
↓
②(見かけ上は)高潔な人格者になり
↓
③(見かけ上は)悟りを開いている状態になる
↓
④そううすれば超感覚が目覚める筈だし、
↓
⑤ずっと続けていれば神秘行をマスターできるだろう
↓
⑥その結果、どんな願望も叶うようになるんだ!
(大体、最後は願望実現!というタイプが多いです。)
というように原因と結果を全く逆に考えます。
この逆パターンに陥った人はかなりの高確率でドツボにはまります。
なぜなら、怒りといった感情や性欲などの欲望を無理やり押さえ込むと
心理的ブロックを形成してエネルギーの循環を抑え込んでしまうからです。
こうなるとチャクラも開きませんし、意識の奥底にある本質とは繋がれません。
本人は「神秘行を究めよう」と考えているのでしょうが、その可能性を
自ら潰しているわけです。
特に気功やクンダリ二ーヨガでエネルギーが活性化した人間がこのパターンに
陥るとエネルギーが強力な分、強い反動が生じます。
トランスパーソナル心理学では霊的な力が目覚めて引き起こされた精神・肉体の危機、
人生自体が破綻していく状況をスピリチュアル・エマージェンシ-と呼んでいますが、
これが更に激しくなります。
こうして逆パターンでドツボにはまった人は、神秘行や願望実現の結果が出ません。
そこで対抗策として、
「ありがとうございます」を何万回唱える
潜在意識を浄化するマントラを何万回唱える
いわゆる善行(ゴミ拾い、寄付、困った人を助ける)を行う
↑
※真の目的はあくまで自分が利益を得る事
などという行動をとります。
わたしから見ると上記の対策は神秘行の仕組みから見ると逆効果です。
もちろん例外もあり、世の中には数パーセントは生まれつき本質と強く
繋がっている人間がいて、そういう人が上記の行動を行うとプラスに
作用します。
ただ、観察していると90%以上の人はおかしくなります。
わたしから見れば、
「欲望が無くなる」
「現実に動じなくなる」
のは本質に繋がったためですし、
「愛情が満ち溢れる」
「他人に親切にしたくなる」
のはハートのチャクラが活性化したためです。
逆に本質に繋がり過ぎれば
「現実への興味が無くなり乖離していく」
という状況に陥りますし、
ハートのチャクラが更に活性化すれば、
「プラスのみでなくマイナスの感情も激しくなる。」
といった副作用も生じます。
このように、わたしはあくまでテクニカルに神秘行を分析している
わけです。
しかし、上記のような分析をしない人は、
「神秘行を上達するためには怒りを消して欲望も無くして、
善行をしていつも感謝しなければならない。」
「クンダリ二ーが覚醒した人は絶対に怒らない人格者になる。」
というように、神秘行を道徳的観点から解釈しようとします。
このようにわたしがあくまで神秘行と道徳は全く別にして考えるのに
対して、神秘行と道徳をごっちゃにするタイプの人がいるわけです。
というより、ほとんどの人は神秘行と道徳をごっちゃにして考えます。
この傾向は神秘行や宗教書の類いをたくさん読んでいる人ほど
強くなります。
本というものはほとんど綺麗事しか書かれていません。
これは有名人の自叙伝を読めばわかります。
わざわざ自分に都合の悪い事を書く人間はいないわけです。
しかし、世の中には本に書かれている内容を鵜呑みにするタイプの
人間がいます。
そういう人は、
神秘行の効果=道徳の教科書に載ってるような人間になる事
と考えます。
わたしが気功の元師匠と縁を切ったのも、この問題に対して
お互い正反対の意見を持っていたからです。
神秘行を道徳的に考えている人に、わたしがいくら先に書いた
仕組みを説明しても理解してもらえません。
元師匠にも何度か上記の仕組みについて話したのですが
どうしても受け入れようとはしませんでした。
しかし、わたしも年を重ねて、
〈元師匠に話したのは余計なことだったんだな。〉
と考えるようになりました。
人それぞれ人生の目的や価値観は違うわけで、神秘行と道徳の
関係もその人の好きなように決めればいいわけです。
逆に下手にわたしの考えを話したりすると、かえって恨まれたりも
しますから
今では、
「わたしは怒りや欲望を無くすようにして悟りを目指しています。
目的は愛に満ち溢れた人物になることです。」
という人がいた時は、
「頑張って悟りを開いてくださいね。」
とだけ言うようにしています。
つづく
※次回の記事更新日は8月20日になります。