(前回の関連記事は「瞑想で悟りを得る人と発狂する人の違い 」です)
超実用的!気功講座 第35回
潜在意識に最も強い影響を与える記憶
前回の記事では、ドラッグや瞑想で潜在意識の深い部分に
コンタクトした場合に、素晴らしい神秘体験をする人がいる
一方で、肉体や精神に問題が起きるバッドトリップと呼ばれる
体験をする人がいる事を紹介しました。
すると当然、
「どうして人によってこうも変性意識状態になった時の反応が
違うのだろう?」
という疑問が生じます。
その答えを与えてくれたのが以前このブログで紹介した
チェコの心理学者スタニスラフ・グロフでした。
一時期、「アダルト・チルドレン」とか「インナー・チャイルド」という
言葉が流行した事がありました。
わたしもそうした内容の本に目を通した事があるのですが、
要するに
〈幼少期に周囲の大人から与えられた言葉や暴力による虐待が
トラウマになり、成長してからの精神的な問題を引き起こす。〉
という内容だったと思います。
しかし、実は幼少期以前にもっと強烈なトラウマの原因となる
体験があるんです。
グロフは人の潜在意識に最も大きな影響を及ぼす体験は、
受胎してから出産により生まれるまでの期間の体験だと
考えました。
そして、出産までの一連の体験を
「BPM(基本的分娩前後のマトリックス)」と
名付け1~4までの4タイプに分類しました。
具体的には
①BPMⅠ~「羊水的宇宙」
出産が始まる前の子宮内での体験
②BPMⅡ~「宇宙への吸引と出口なし」
子宮の収縮が始まっても子宮口が開いて
いない時の体験
③BPMⅢ~「死と再生への葛藤」
産道を通過する時の体験
④BPMⅣ~「死と再生」
生まれて母親の体から離れる時の体験
の4つに分けられます。
グロフはセラピーの際に、患者を特殊な呼吸法や暗示など
により変性意識状態に導いた上で分娩時の体験を再体験
させたのですが、それをきっかけに不思議な出来事が
起きました。
例えば、産道を通り抜ける時の苦しい体験を変性識状態で
再体験すると、それをきっかけに人類共通の深層意識に
アクセスして、強制収容所で死んで行った人々の記憶を
まるで実際に本人であるかのように体験したそうです。
どうやら胎児期の記憶というのは、ユングが集合的無意識と
呼んだ人類共通の意識につながっているみたいなんですね。
興味深いのは、胎児が生まれるまでの期間は4つに分けられる
のですが、人によって最も強い記憶が残っている期間というのが
あるらしいんです。
そして、その印象が最も強い期間の記憶がその人の人生を
方向づけると言うんです。
わたしは中学生の時に「ブリキの太鼓」という映画を見たことがある
のですが、その中で主人公が母親の産道を通って生まれてくる
シーンがありました。
(強烈に印象に残る映画でした。)
その映画の主人公は出産時の記憶が残っているという設定だった
のですが、そこまで憶えていなくても産道を通って生まれるまでの
体験は最初に脳に刷り込まれる体験なわけですから、その後の
人生に与える影響というのは大きいものになります。
グロフによると、潜在意識下で人生に対して抱いているイメージや
感情はこの時に決定されるそうです。
また、ドラッグや瞑想によって自分の深い意識にアクセスした時に
肉体や精神に起きる体験も、分娩時に最も強い印象があった記憶に
影響されるそうです。
次回の記事では、分娩時の体験の4タイプについて説明したいと
思います。
