Harpers Bizarreの1stがMono拡大盤で再発 | サイケデリック漂流記

Harpers Bizarreの1stがMono拡大盤で再発

Feelin' Groovy ~ Deluxe Expanded Mono Edition
Harpers Bizarre
Feelin' Groovy ~ Deluxe Expanded Mono Edition

Associationに続いて、Now SoundsのExpanded Mono EditionシリーズからHarpers Bizarre編がリリースされます(11月29日発売予定)。

本作"Feelin' Groovy"は、1967年の彼らのデビューアルバム。アルバムタイトルは、全米13位ヒットしたファーストシングルの"59th Street Bridge Song (Feelin' Groovy)"から取られています。この曲、レオン・ラッセルによる素晴らしいアレンジと、チャーミングなボーカルワークで、サイモン&ガーファンクルのオリジナル(「59番街橋の歌」)よりも好きだという人も多いのではないでしょうか。

Harpers Bizarreは人気盤のサード"The Secret Life of..."とともに、ソフトロックを代表するグループとして語られていますが、もともとは最初期シスコサウンドを形成したガレージバンドのTikisがその前身(出身はSanta Cruz)。1966年にサンフランシスコのAutumn RecordsがWarner Brothersに買収されたことにより、レーベルメイトのBeau BrummelsやMojo Menらとともにワーナーに移籍します。

そのときTikisの潜在能力に注目したのが、当時ワーナーに雇われたばかりだった新進気鋭のプロデューサー、Lenny Waronkerでした。レニーはVan Dyke Parks, Randy Newman, Leon Russell, Perry Botkin Jr.らの優秀なアレンジャー/ソングライターを集め、思い描いていた「バーバンクサウンド」を具現化するために、彼らをHarpers Bizarreという新たなグループに作り変えたのでした。

バーバンクサウンドというのは、基本的には「古き良きアメリカの再発見(ディスカバーアメリカ)」をテーマに、オールド&グッドタイミーな映画音楽的アレンジによる、ノスタルジックでドリーミーなソフトロック的音世界が特徴。ともすれば郷愁的で甘ったるい音楽と誤解されがちですが、実はなかなか一筋縄ではいかないところがあります。

バンドやアーティストよりもむしろ、裏方である制作陣の方が主導して「作られた」ということもその要因でしょうか、サイケデリックともつながるような、どこか、いびつで歪んだ感触があったりします。バーバンクサウンドの代表ともいえる、このHarpers Bizarreも、どこまでが「リアル」なのか判別できないような遊離感を秘めた楽曲群が、ほとんどハモらない、ユニゾンで囁くような催眠的なコーラスによって歌われていくところなど、ずっと続けて聴いていると強烈なトリップ感に襲われる時があります。

ちなみに、メンバーのTed Templeman(ジャケ左端)は、のちにドゥービー・ブラザーズやヴァン・ヘイレンなどのプロデューサーとして名を成し、ワーナーの副社長にまで登りつめています。今回の再発ではオリジナルのモノアルバムに加え、インストバージョン6曲、シングルバージョン3曲、Tikis時代の7曲("Bye, Bye, Bye"はHarpersの3rdに再録)、あわせて16曲のボーナストラックが収録されています。

ORIGINAL MONO ALBUM:
1. COME TO THE SUNSHINE
2. HAPPY TALK
3. COME LOVE
4. RASPBERRY RUG
5. 59TH STREET BRIDGE SONG (FEELIN' GROOVY)
6. THE DEBUTANTE'S BALL
7. HAPPYLAND
8. PETER AND THE WOLF
9. I CAN HEAR THE DARKNESS
10. SIMON SMITH AND THE AMAZING DANCING BEAR
BONUS TRACKS:
11. COME TO THE SUNSHINE (INSTRUMENTAL)
12. 59TH STREET BRIDGE SONG (FEELIN' GROOVY) (INSTRUMENTAL)
13. SIMON SMITH (INSTRUMENTAL)
14. COME LOVE (INSTRUMENTAL)
15. HAPPYLAND (INSTRUMENTAL)
16. THE DEBUTANTE'S BALL (INSTRUMENTAL)
17. 59TH STREET BRIDGE SONG (FEELIN' GROOVY) (MONO 45)
18. COME TO THE SUNSHINE (MONO 45)
19. THE DEBUTANTE'S BALL (MONO 45)
20. BYE, BYE, BYE (THE TIKIS)
21. LOST MY LOVE TODAY (THE TIKIS)
22. PAY ATTENTION TO ME (THE TIKIS)
23. IF I'VE BEEN DREAMING (THE TIKIS)
24. BLUE EYES (THE TIKIS)
25. DARKEST NIGHT OF THE YEAR (THE TIKIS)
26. I'LL NEVER FORGET ABOUT YOU (THE TIKIS)


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