Holy Mackerel

The Holy Mackerel
The Holy Mackerel (1968)
ちょっと間があきましたが、最近このテーマでは、レココレ・サイケ特集号には載っていなかったアーティスト/アルバムを取り上げております。選ぶものに特にこだわりはなく、たんなる思いつきです。
Holy MackerelはPaul Williamsが60年代に在籍していたLAのバンド。というより、まだ無名だったPaulの才能に注目したプロデューサーのリチャード・ペリー(*1)が、彼のリーダーアルバムを制作するためにメンバーを集めた、セッショングループのようなものだったようです。
メンバーはPaulの弟で、名曲"Drift Away"の作者として知られるMentor Ralph Williams(ジャケ右端のヒゲの人物)、女性フルート奏者のCynthia Fitzpatrick、Jefferson Airplaneの初代ベーシストのBob Harvey、元TurtlesのドラマーのDon Murrayら。しかし、アルバムが完成する前にDonはMichael Cannonに、Bobは当ブログではお馴染みのJerry Scheff(カートベッチャー関連、Goldenrodなど。ジャケ中央奥)に交代していて、ジャケやクレジットには載っていません。
ということで、参加メンツの顔ぶれだけでサイケファンは結構そそられるんじゃないでしょうか。中身も、幻想的なフルートが入った素晴らしいメロウソフトサイケ曲を中心に、アレンジやエフェクトもかなりサイケしてます。でも、メンターがリードボーカルを取っていて、おそらく彼が書いたと思われるカントリーロックチューンや、詩の朗読みたいなのもあって、いわゆる「分裂気味」な感じ。
「ソフトロックAtoZ」の解説では「いい曲もあるけどパッとしないアルバム」みたいな論調で、数年前にCollectors' Choiceから再発されるまでCD化されなかったのも、そのあたりが原因かもしれません。でも、私のように、こういうダメっぽい分裂気味の作品に愛着を感じるサイケファンには、きっとその魅力がわかってもらえると思います。
ちなみに、一曲のみですがロジャー・ニコルスとの共作がすでにここで行われていて、その"Bitter Honey"はやはりソフトロックチューンとして出色の出来。のちのふたりのコラボ作の輝きそのものです。あと、American BreedやSandpipersがカバーし、ポールのソロ作でも再録された
試聴はこちら。
*1
リチャード・ペリーがプロデュースしたタイニー・ティムのシングル("Tip Toe Thru the Tulips", 1968)のB面曲を書いたのがポールだった。