第57回 Margo Guryan | サイケデリック漂流記

第57回 Margo Guryan

テイク・ア・ピクチャー(紙ジャケット仕様)
マーゴ・ガーヤン
テイク・ア・ピクチャー(紙ジャケット仕様)

"Hippie Goddesses"コンピ収録アーティストといえば、このMargo Guryanもそうでした。偶然ですが、先日取り上げたSpanky & Our Gangのヒット曲、"Sunday Morning"(1967年、30位)の作者として知られている人です。

NY出身の彼女は大学でクラシックとジャズ(ピアノ)を学びますが、ビーチボーイズの「ペットサウンズ」を聴いて衝撃を受け、ポップミュージックの作詞作曲に目覚めます。そして、1968年にリリースした唯一のアルバム"Take a Picture" は、ソフトロック~ソフトサイケの名盤として、近年とみに人気の高まっている素晴らしい作品です。

まず、クロディーヌ・ロンジェとかヴァシュティ・バニヤンを思わせるような、ちょっとハスキーなウィスパーボイスが魅力的。それに、オリジナルの楽曲群のハマり度がまた尋常ではありません。オープニングの"Sunday Morning"から、シタールとファズギターの味付けが印象的なソフトサイケチューン"Sun"へと続く導入部で、完全にやられてしまいます。バッハの「主よ人の望みの喜びよ」の旋律を巧みに取り入れた"Someone I Know"なんかも鳥肌モノ! ラストナンバーで、前述コンピ収録の「どサイケ」チューン"Love"まで、天国気分で聴き惚れてしまうことでしょう。

さらに、このアルバムを魅力的なものにしているのがバックのアレンジと演奏。ストリングスやホーンなんかも使われていて、メローな曲もわりと多いんですが、それぞれの楽器の音が生き生きと跳ねるようで、ベースとドラムのリズム隊にビート感がある、まさしく「ソフトロック」と呼ぶにふさわしいサウンドです。ちなみに、上のリンクは今春再発された紙ジャケで、下は数年前にリリースされたデモ曲集です。

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Margo Guryan
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