Spanky & Our Gang | サイケデリック漂流記

Spanky & Our Gang

The Complete Mercury Recordings
Spanky & Our Gang
The Complete Mercury Recordings

「シカゴのママス&パパス」ことSpanky & Our Gangは、60年代サンシャインポップ~ソフトロックの最良の楽曲/アルバムを制作したにもかかわらず、なぜか近年のCD再発にも恵まれず、あまり話題になることのない不運なグループという印象です。

シングルヒットは結構あって、"Sunday Will Never Be the Same"(67年、9位)、 "Lazy Day"(67年、14位)、"Like to Get to Know You"(68年、17位)など、半ダースほどのTop40を記録しています。それなのに、オリジナルアルバムは、十年ほど前にソフトロックブームの日本で一度CD化されただけではないかと思います(現在廃盤。米amazonのマーケットプレイスで$85~$157という値がついている)。

アルバム作品はジェリー・ロスがプロデュースしたセイムタイトルの1st(1967)からすでに、「サンシャインポップ」や「ソフトロック」という名称だけではくくれないような多才さを発揮していて、ジャズやボッサ、ジャグなどのグッドタイムミュージックやサイケ、ダイアログ(しゃべくり)などを巧みに取り入れた、彼ら独自のポップサウンドを作り上げています。

アレンジを手がけていたBob DoroughとStu Scharfがプロデュースを担当した2ndの"Like to Get to Know You"(1968)からは、トータルアルバム的な作りが見られるようになり、その次のラストスタジオ作となった"Anything You Choose b/w Without Rhyme or Reason"(1969)では、「ソフトロック版サージェントペパーズ」という感じの傑作となっています。

そんな素晴らしい作品群が思うように入手できない状況だったのが、数年前に一挙に解消されました。Hip-O Selectからリリースされた"The Complete Mercury Recordings"という4枚組ボックスセットがそれで、3枚のオリジナルアルバムと、69年の"Spanky's Greatest Hit(s)"、70年の"Spanky & Our Gang Live"というタイトルに、"Previously Unreleased Rarities"と"The Mono Single Mixes"の28曲を追加した、文字通り「コンプリート」といえる内容です。なぜまた"Greatest Hits"まで入れたのか、と思われるかもしれませんが、これまたトータルアルバム的な編集がしてあって、6分バージョンの"Sunday Morning"など、バージョン/ミックス違いを聴くことができます。

ちなみに、SpankyことElaine McFarlaneは、のちのママス&パパスの再結成時(80年代?)にママキャスの代役をつとめています(ライブ盤が出ている)。



AssociationとMamas&Papasが合体したみたいなメロウさがナイス!



アルバム"Anything You Choose~"より。