Tommy Roeの“Phantasy”再発 | サイケデリック漂流記

Tommy Roeの“Phantasy”再発

Phantasy
Tommy Roe
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Falloutから、Tommy Roeの"Phantasy"(1967)がCD再発されます(10月1日発売予定)。

これは、昨年同じくFalloutから再発された名作"It's Now Winter's Day"(1967)の次作に当たるアルバムで、いわばトミー・ロウの「ソフトサイケ二部作」の後編となるもの。前作は、Curt Boettcherのボーカルアレンジの元、のちのBallroom~Millenniumのメンバーがバックアップしているということで、ソフトロック関係、特にカート・ベッチャー関連アイテムとして有名でした。

しかし、トミーは「カートのアレンジはやりすぎだ」と思ったらしく、本作では彼をクビにしています。今から思えば「なんともったいないことを」という感じですが、それも無理ないかなと思えるくらい、カート・ベッチャーの個性は強烈でした。("Moon Talk"なんて、もうほとんどMillennium!)

というわけで、前作とくらべるとかなり地味な印象で、サイケ感覚も薄まっている感じがします。だからといってつまらないかというと、まったくそういうことはなくて、ポップながらメロウ&メランコリックなムードが横溢した、極上のソフトサイケ~ソフトロック作品に仕上がっています。特にトミーのオリジナル中心の楽曲が素晴らしい。

このあと、"Dizzy"などのバブルガムポップからAORへと、またいろいろスタイルを変更していくのですが(60年代初頭のデビュー時はバディ・ホリーのフォロワーだった)、この二作を聴くにつれ、この路線であと何枚か作ってほしかった、と残念な思いがします。

It's Now Winter's Day
Tommy Roe
It's Now Winter's Day



1966年にカート・ベッチャーが最初にかかわったシングル。