The Groop

The Groop
The Groop
ちょっと前にSundazedから再発されたThe Groopの評判がいいみたいですね。
映画「真夜中のカーボーイ」(*1)に彼らの歌が使われ、そのサントラに2曲が収録されたものの、1970年にリリースされる予定だったアルバムは、けっきょく発売中止に・・・。ところが、突如90年代に未開封のオリジナル盤数枚が「出現」して、その存在が知られることになったという、いわくつきの激レア盤です。それだけに、今回の再発はソフトロックファンが待ち焦がれた「幻の名盤」のCD化だったようです。
で、内容ですが、噂にたがわず素晴らしいのひとこと。基本は王道中の王道の男女混声サンシャインポップで、ママス&パパス以下、フィフス・ディメンション、ラヴ・ジェネレーション、スパンキー&アワ・ギャングといったグループの真髄を抽出して遠心分離して蒸留した、みたいな、ピュアで芳醇なソフトロックサウンドを聴かせてくれます。
"The Jet Song"のような、5th Dimensionの"Up Up and Away"タイプの「ハイ&アッパー」な曲もいいし、"A Famous Myth"みたいなメロウ&メランコリックな曲もいい。ファズギターが入ったり、アシッド感のあるアレンジがほどこされたサイケ風味の曲の配合や、過不足ないストリングス&ホーンのアレンジもナイス。キング=ゴフィン作の"Goin' Back"も、Byrdsのバージョンとはまた一味違った絶妙なソフトロックチューンとなっています。
特に、男女ハーモニーの「とろけるような融合感」みたいなのがピカイチで、聴いてるうちに心も体もジーンとシビレるみたいになって、とても気持ちがいい。そのへんの「アシッドソフトロック」みたいな要素は、MillenniumやGoldenrod、最近再発されたFriar Tuckなどの仕事でお馴染みのToxey Frenchが制作を担当しているということで、うなずけるかもしれません。
*1
原題は"Midnight Cowboy"。邦題は「カウボーイ」ではなく「カーボーイ」となっている。1969年度のアカデミー作品/監督/脚色賞を受賞したアメリカン・ニューシネマの代表作。主演はダスティン・ホフマンとジョン・ボイト(アンジェリーナ・ジョリーのお父さん)で、主題歌のFred Neilの"Everybody's Talkin'"が印象的だった。ただし、ここで使われたのはニルソンによるカバーバージョン(邦題「うわさの男」)。サントラに収録されたThe Groopの曲は"A Famous Myth"と"Tears and Joys"。他にサイケ期Elephant's Memoryなどが収められていて、このサントラも60sムード溢れる好盤。

Original Soundtrack
Midnight Cowboy: Original Motion Picture Score

20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
真夜中のカーボーイ (2枚組特別編)