内側広筋とExtension lag | みえリハPT、STのブログ

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どおもキラキラ
「何となくPT」みえリハビリテーション研究会の中です。



最近ベタにベッドの角に第Ⅴ趾をぶつけ、靴を履くと痛いです。

仕事に支障は出ていませんが、油断してるとこんなベタなことも起こるので気をつけましょう!



ということで、今週は、内側広筋(VM)について書いていきます



起始:大腿骨粗線内側唇
停止:大腿四頭筋腱へ移行後、膝蓋骨を介して脛骨粗面



内側広筋斜走線維

起始:広筋内転筋腱板を介し大内転筋腱
停止:膝蓋骨内側縁および内側膝蓋支帯




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内側広筋が凄く重要な筋というのは皆さんご存知だと思います。



作用としては、膝関節伸展、膝蓋骨の内方牽引、下腿内旋、Knee-in toe outにおける膝関節の安定化の中心でもあります。
しかし、1番重要と感じているのはExtension lagとの関連が強いという数々の報告があるからだと思います。



何故内側広筋がExtension lagとの関連が強いのか?




最終伸展で働くのはよく聞きますが、ここをもう少し掘り下げてみると、、
どうも斜走線維の膝蓋骨を内側に引く(正しい位置に位置させる)作用により最終伸展に必要な収縮力を発生させているようです。



Calliet著「膝の痛みと機能障害」から抜粋。


膝は内側広筋の斜走線維によってのみの伸展が不可能である。
膝の最後の15°の伸展にはそれまでの伸展に要した力の60%増しの力が必要とされる。
そこで、斜走線維が膝蓋骨を大腿骨溝に(中心に)位置させるように収縮すれば13%より少ない力で可能となる。
と記載されています。



内側広筋の単純な力のみでは難しいとのことですが、斜走線維の働きにより最終伸展が可能になるということです。



最終伸展が不可能な状態が続けば、確かに内側広筋に筋萎縮は起こるでしょう。



では、最終伸展が不可能な時って?





「腫脹」、「組織損傷」、「疼痛」などですよね?
それぞれが関連し合っているので、原因を1つに絞りにくいかとは思いますが、
「腫脹」というポイントに絞って最終伸展の関連について書きます。




膝に血腫・水腫が発生すると、神経学的抑制回路が形成されると言われています。


神経学的抑制回路とは、自己防衛的な反射性筋萎縮のことです。



ではなんのために、反射的(防御的)的な筋萎縮が?



それを理解するためには、以前紹介した滑液を知る必要があります。



滑液についてはhttp://ameblo.jp/ps-outputs/entry-11592162250.html を参照。



これを踏まえて本題に。

以下は、井原英俊先生著「考える膝」から抜粋。



反射性筋萎縮(抑制)はいつ頃からか…。



それは滑液が10~20ml増加(正常では膝関節での2ml程)したときとされています。

10~20ml増加すると内側広筋に抑制がかかり、反対にハムストリングス活動が大きくなります。



何故内側広筋に抑制がかかり、反対にハムストリングス活動が大きくなるのか。



・腫張により屈曲が増加
⇒四頭筋の収縮がない状態で滑液の増加によりパテラのみ浮き上がる。


⇒四頭筋が屈曲位となる。


⇒大腿骨、脛骨への力は滑液の多い前方が強くなる。


結果、屈曲が増加し、四頭筋の作用を回避し活動が減少する。


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筋骨格系のキネシオロジーにも、
・膝関節の腫脹や水腫は、伸筋不全の可能性を高める。
・腫脹は関節内圧を増大させ、それは物理的に膝関節最終伸展を制限する。
・増大した関節内圧は大腿四頭筋の神経活動を反射的に抑制する。
⇒つまり、関節水腫によって屈曲の増加は間違いない!



次に上記から何故抑制が起こるのか?
①膝蓋腱の圧迫
水腫により膝蓋腱が圧迫。


⇒Ⅰb抑制。


⇒四頭筋の抑制。


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②滑膜の循環障害
滑液内の老廃物は毛細血管やリンパ管を通って排泄。


⇒通常の5~10倍増加することで滑膜内の毛細血管やリンパを圧迫。


⇒さらに四頭筋の収縮が加わる。


⇒膝蓋骨が滑膜方向へ押し付けられる。


⇒さらに、毛細血管やリンパの圧迫となり循環不全となる。


このような理由から、現象を防ぐために反射的な抑制が早期から出現すると考えられる。




最後に再び戻って、内側広筋が何故早期に萎縮するのか?




最終伸展域15~20°の範囲では主に内側広筋(斜走線維)の作用により完全伸展位が可能となる。とは冒頭で書きました。



つまり、より伸展させないようにするには、内側広筋から萎縮させ最終伸展を制限する。ということになります。



ここまでの話しから、廃用性というのはあくまで2次的に起こるということになるので、早期に内側広筋の筋力回復を図るというのが重要ということが理解できます。


しかし、1次的要因の腫脹を取り除かないと、結果として、2次的な萎縮が起こるので、筋力の回復というよりもまずは腫脹の管理が必要になります。




つまり、、、



過剰なexは反対に抑制をかける可能性があるということです。



リハビリ時以外の管理も重要になるので、患者さんはもちろん、関わる人々にその重要性を話せるようにしましょう。



長文お読み頂きありがとうございました。




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