数日前、83歳の女性のお客さまが娘さんといっしょにいらっしゃいました。

空港でお迎えした私は、そのきりりとした佇まいにまず驚き、その論理的な話し振りにまた驚き、さらに、まだ現役で働いていらっしゃるため数日しか休みがとれなかったという事実に驚きました。現在は、大学時代に学んだ英語を生かしたお仕事をしていらっしゃるんですって。

滞在中は、ダヴィッドのプライベートチャーターをご利用いただき、地中海方面の町や村を訪ねたり、リュベロンの小さな村をめぐったり。ダヴィッドは、走りながら、知的な話をいろいろ聞けたことをとても楽しんでいました。

私も、年をとってもこんなふうにいつまでも現役でいたい。理想の姿でした。



また、先月いらしていただいた女性のお母様は、戦争中に勉強できなかったことに悔いがのこっていたため、70代で高校に通い、卒業したら大学に行きたくなり、ついに女子大生になっちゃった。80代で大学入学って! 
そして毎日、5時間以上の猛勉強。体育の授業もしっかり出席し、バレエの授業があればバレエ・シューズを嬉々として買いに走る、、、。
そのうえ、心臓にペースメーカーをつけていらっしゃると聞いて、もう脱帽。。。。

いくつになっても好奇心とチャレンジ精神をもち続ける。
ここにも、理想の姿があります。


でも、それもこれも、強靭な身体と精神があってこそ。



友人のお母さんが入院し、きのう、肺にガンが発見されました。
60代前半。きのう電話で話したら、あんなに元気だった彼女の声が別人のようでした。
50代から陶芸を始め、指を落としてもいつも前向き、そこいらの男より男気があった彼女なのに。
そんな時なのに、彼女は私に言うのです。「あぁ、あなたの声がこうして聞けてよかった。日本はどうだったの? ご両親は? そうなの、よかった。あなたがどうしてるか気になっていたから。元気な声が聞けてほんとうによかった」
こんなに心が優しい人、いまは心が弱ってしまっているけど、必ず病気と闘って、また元気に笑い合えると信じています。



私の母は60代で心臓の病や脊椎管狭窄症になったりして、それまでずっと続けていた児童文学の創作をやめました。
私が子どもだった頃の母は、不要になった路面電車を買い取る交渉をして子どものための「電車図書館」を作ったり、子どもの本研究会の代表を務めたりするなど、とても活発でした。
70代の今は、花の絵を描く新たな楽しみを見いだして、スケッチブックに何枚も描いた花を、私に見せてくれます。

そして私の父は、引退後、それまで好きだった絵より彫刻、ことに仏様の彫刻に毎日励み、そのせいで緑内障になってしまいました。最近、また視野が狭くなってしまったと聞いて、私は気が気でありません。でも父はいまも小さくてシンプルな彫刻作りを楽しみ、電話をすれば、日々の話をたくさん聞かせてくれます。


いつまでも元気に、現役で、活発に生きたい。それは、誰もが願うこと。
でも、いつ、どんなことが待っているかわからないのが人生。それはみんなに平等。
したくても、できない人のほうが多い。
その心がわかる人でありたいし、どちらの人生もすばらしいのだと思える人でありたい。


そして、もし理想にいたることができない何かが自分に起きたとしても、不条理を受け入れ、よい方向に気持ちをもっていけるようでありたい。でも、まだまだ難しい。何かあると、すぐめげる。

だから、人生はずっとずっと修行のようなもの、だと思うのです。




$プロヴァンス発 南フランス暮らし365日-ジェラール


ジェラールも尊敬する人のひとり。版画家であり詩人。カストレ村に小さなアトリエをもち、気が向いたときに開けて、訪れる人にその方法をレクチャーしたりして楽しんでる。アトリエの上の小さな小さな一部屋に、83歳の今もひとりで暮らしている。とはいえ、近所に20歳年下のガールフレンドがいて、先日もふたりでイタリアを旅してました。戦争で人生観が変わり、エリート人生からいい意味で脱落。無類の物知り。日本の文化をこよなく愛し、フランス語で俳句もたしなむ風流人。



もう金曜日。
毎日を大切に暮らそうと、今日も自分に言い聞かせて。




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